『Hell side 2-5 重要事項』
『Hell side 2-5 重要事項』
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「そう、要は三弥栄、お前をCTと戦う戦士にするのが目的だ」
所長は三弥栄を戦士にしたい。
「次に、その力を得る方法だ。ページを捲ってくれ」
三弥栄は次のページへと進む。
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【死節管理部から地獄へ道づれ】
1.智川から選ばれる
2.指定された時間に死節管理部に入る
3.地獄へ道づれにされるのを回避する
4. 智川の世界(死後の世界)でアイテムを得
る。
5.戻ってくる
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所長は書いてあることを読み上げて終わろうとする。
「な、そういうことだ」
「3と4。そこが凄く大事だと思うんで、もうちょっと詳しくお願いします」
三弥栄は食い下がった。
「いいところに気がついたな、三弥栄。あの部屋に入ったらルールがある。これは指定時間に関係ない。入ったら絶対に守らなければならないルールだ。次のページを見てくれ」
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【地獄へ道づれ】
•ルール1:目を開けるな
•ルール2:声を出すな
•ルール3:耳を貸すな
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「死節管理部に入ると、お前の感覚に干渉して足を引っ張る。引っ張って地獄へ道づれ――要は死ぬ。特に耳だ。聴こえる声は全て嘘だ。騙されたら終わる。必ず“智川です、着きました”と名乗ってくる。これに引っ掛かるな。全部嘘だ」
「うん?じゃ、いつゴールしたと分かるんですか?感覚閉じなきゃなのに」
「いいところに気がついたな、三弥栄。方法がある。次のページを見ろ」
ページを開くと、資機材の写真が載っていた。
「気密性の高い宇宙服を着せて、お前を放り込む。
目はテープで塞ぐ。耳は栓をしてさらにテープで覆う。口もテープで閉じ、鼻だけで呼吸してもらう。空気は酸素ボンベで供給する。
宇宙服を脱がされた時、それがゴールだ。智川の世界(死後の世界)へ到着する」
無酸素・絶対零度・放射線を遮断して死を回避する宇宙遊泳ではなく、感覚を遮断して死を回避する“地獄遊泳”。宇宙服。所長は元も子もない方法を提示した。
「宇宙服で地獄を越えるんですか!?」
「そうだ。宇宙服だ。何も見えないし、聞こえないし、喋れない」
「その状態、どのくらい続くんですか?」
「うーん、人によりけりだな」
「寝て過ごすといいよ」
寝ていたナイスガイが起きて口を挟んだ。
「そう、鎮静剤を用意してある。意識レベルを下げた状態で、さらに安全を担保する」
所長は間違いないという顔で頷いた。