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『Hell side 7-6 女将』

『Hell side 7-6 女将』


音と炎のカタストロフィが完結した。

第二層は支配を失い沈黙する。


「ティロリ・ティロリ」


仕上がりの音が響く。

三弥栄のアイテム「The Book」がワンを理解したことを知らせる。


「やるの?」龍美が三弥栄に尋ねる。

「うん、どうなるのか試してみないとだよね」そう言ってページを開いた。


構造支配意識・ワンのページが出来上がっていた。


―――構造支配意識ワンについて―――


宗教を模して神や信仰(偶像や愛を含む)といったパッケージを、何かを信じたい心へ向けて商品化して市場に並べ、「お支払い」による幸福の成就と、地獄行き回避を約束して、金を捧げ続けさせる特殊詐欺を継続展開する。「ワン」は実体を持たず、ネットワーク化された構造の中にあって、CT「偽・ワン」を生成。一義的で狭義な教義を与えて切り離し、願望の成就に関わらず使い捨てる。


構造支配意識の発生した場所は、構造支配意識が環境を構築して司る。


―――


ゼロの時と同じく、ワンはこの場を構造している。


ワン亡き後を、本が三弥栄で上書きする。


「構造支配意識ワン」


三弥栄が音読した。本のページが「構造支配意識 三弥栄文楽」に書き換えられた。そして……


「ここを、温泉地とする」


三弥栄が高らかに宣言。

第二層に「ホテル三弥栄二号館」が展開された。


構造支配意識の場がまた、温泉地へと変わっていく。


エントランスに着物姿の女将が出迎えをしている。

「CT!?」部隊がザワつく。

ロビーにはチェックインの手続きを行う宿泊客。

ラウンジも人で賑わっている。従業員がいて、利用客がいる。ホテル三弥栄が機能している。


人の存在に害はないが、やや、いや、全て20代以上の女性であり、明らかな偏りが生じている。ここにいる者を見た三弥栄は、変な汗をかいている。


調子に乗って温泉地に余計な構造を施したようだ。

今までにお世話になった方たち(主に映像作品)を起こしてしまっていた。


第二層を三弥栄のプライベート(妄想)空間とした時、部隊(他人)が踏み入れているにも関わらず、おかしなことを考えてしまったようだ。幸い、他の部隊員がそういった事情に気付くことはなかった。


現れていたのは、暴走意識列車ではなく、個人的妄想意識暴走列車という意味でのCTであった。


三弥栄は内心を構造に反映させることの難しさを知る。


悪いことだけではない。

三弥栄が心を開きすぎたことで起こった妄想意識の表層には、「The Book」の意思が働き、リミッターとして制御されていた。その制御下で、表層されたCTを媒介に、本の意思との会話が可能となる。


エントランスの女将が三弥栄に話しかける。

「いらっしゃいませ、皆さま。第二層構造への到達、おめでとうございます。女将の意識を介して、貴方のアイテムである本として話しています。死節者の皆さまにお伝えする機会とさせていただきたく存じます」

女将の丁寧な挨拶。


「か、かたじけない」

知ったる顔の丁寧な挨拶に動揺して、三弥栄はかたじけないと、普段使わない言葉で返事をした。

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