『Hell side 6-1 Show must go on』
『Hell side 6-1 Show must go on』
部隊は持てる物資を担いで、暗がる洞窟の入口へ踏み入れる。岩ばった自然窟の入口の先に「湯」の暖簾。
「温泉!?」「おい、温泉だぞ」「えっ待って湯?」「風呂入れんの?」「なんで温泉なんだよ」「ほー、そうくるか」「いきなり休めるの?」部隊がざわつく。
先に進むしかないので暖簾を潜ると部屋。「男」「女」と別々の扉がある。ダンジョンで男女の分岐が発生した。
この先が温泉ならば問題ないのだが、ここはゼロ界。これは集合無意識が用意した風景。表示のまま部隊男女を分けるべきか迷う。
ナイスガイに哨戒任務が与えられ、男の扉から入って、女の扉から出てきた。
「中で男女の扉は繋がってる。広い空間で温泉旅館の劇場みたいになってる。温泉はないみたい」
ナイスガイの哨戒偵察報告を受け、いかにも精神世界っぽい不条理なダンジョン設定に三弥栄は嫌な予感しかしない。
全員、男の扉から入った。
確かに劇場だ。キャパ100名程度の小劇場。舞台は暗幕で覆われている。
劇場にウグイス嬢のアナウンスが流れる。
「お好きなお席についてお待ち下さい」
洞窟はダンジョン迷宮ではなく、ゼロ界何かしらの特異精神層への入口のようだ。
既にこの構造に取り込まれている部隊は、久慈からよく観察しながらアナウンスの言う通りに動くよう指示を受けた。互いの動線を確保した間を取って席につく。
「開幕です」
アナウンスとブザーが鳴る。
照明が落ちて暗転。
幕が上がり舞台にスポットライトが2本あてられる。
光の中、おっさんが二人たたずむ。
キャップを被ってジャケットを羽織る小柄なおっさん。
スーツを着た太ったおっさん。
両方ともおっさん。
おっさん(小)が「プロデューサーJ」と名乗る。
おっさん(太)が「プロデューサーA」と名乗る。
「おっさん、2人ともCTだ」虎太郎が劇場に声を響かせる。
「あなたは、智川虎太郎さんですね。よく知っています。早くに両親を亡くして、兄として龍美さんを不自由させることなく守って来た」
JとAの声はシンクロしている。虎太郎と龍美の知られざる背景を同時に語った。
「えっ?ちょっと待って、両親生きてるし、割と口うるさくて不自由だったけど」龍美が即座に否定する。CTが適当なことを言いやがる。
「見た事のないCTだ。(小)とは違う。既に出来上がった何かしらの暴走意識だ。揺さぶって現実世界へ表層化しようとしているのかもしれない。気をつけろ」虎太郎が警戒を強める。
「ここを抜けるには条件があります」JとAが続ける。
J「私に黒帯を渡しなさい」
A「私に魔法瓶を渡しなさい」
JA「そうすればここを通しましょう」
「CTの目的は分断だ、騙されるなよ!」久慈が叫ぶ。
「えっ?そうなの?」ナイスガイが黒帯を渡そうとして外しかけていた。
「答えは、NOだ!!各員戦闘態勢!!」久慈が戦闘態勢を指示して部隊が展開する。
JA「では、」
J「あなたをやっちゃいましょう」
A「制服を脱ぎましょう」
JA「ブルーミング・グルーミング!!」
JがAに腰を打ち付けて合体した。




