『Hell side 4-1 熊問(小)』
『Hell side 4-1 熊問(小)』
三弥栄がH2Bに揺すられて起きる。
ショックで気絶だと破壊復は効かない。
「あ、またオレ何かやっちゃいました?」
三弥栄は混乱しているようだ。
「腕を千切られて気絶してたのよ」
H2Bが状況を伝える。
「あ、ああ、ああー、そうか、ああ、気絶だ……。やっちゃいました」
三弥栄は肩を落として不甲斐なさに凹む。
「三弥栄君、自分が初日の時は失禁したよ、そりゃもう派手にビビってジョロジョロと」ナイスガイが過去のお漏らし体験談を告白。
「能力も分かっていない初日にいきなり“対“と“熊問(大)“の発生はレアだ。持ってるな、三弥栄。気を落とすな。漏らさなかったのは立派だ」
久慈が三弥栄をフォローする。
部隊が失敗を受け止めてくれたことに三弥栄の気持ちは救われる。
久慈は熊問(大)の発生プロセスと先程の戦闘を記録してフィードバックする。
「いつにも増して勢いがあって押された。リカバリーは成功した。ただしナイスガイ、無茶し過ぎだな。H2Bを信頼しているのは分かるが、もう少し自分を抑えた方がいい」指揮官の冷静な分析だ。
「了解。確かにさ、慌ててたよ。気をつける」
ナイスガイは修正点として素直に聞き入れる。チームとしてコミュニケーションが取れている。
「問題はこの“勢い”よね。今迄より明らかに増している」H2Bが問題点を挙げる。
「対で2人、アイテム持ち死節者が増えたのと何かしら繋がりがあるかもしれない。だとすれば、2人(三弥栄とハリー)の能力がこっから先、鍵になるだろう。確実に状況が変わってきている。何かの前兆と捉えるべきだ」久慈がここまでの流れ自体を警戒しなければと部隊へ認識を共有した。
「ぱんっ!!」少し離れた所で音がする。
久慈部隊が音の方向を向く。
人間が3人、近づいてくる。
三弥栄は龍美とハリーを確認。
「あ、智川さんと、さっきの綺麗な人だ」と手を振る。
3人は立ち止まり、3人の内、男性1人が手を打つ。
「ぱんっ!!」
続けて、右手を挙げて、手でピースサインを作った。
相手側の2つ動作を受け、久慈が両手を頭の上で繋ぎ、「〇」を形づくる。
そして、額に手を充て、遠くを覗くようなポーズをした。
互いに2つ、計4つのサイン。
「パン」
「2(ツー)」
「〇(まる)」
「見え」
お互いの確認が取れて近づいてくる。
どうやらCTと区別するためのサイン暗号だったようだ。
「久慈隊長、お疲れ様です」
OS側、智川第一部隊と合流した。
智川虎太郎、智川龍美、ハリー堀田の3名である。
三弥栄はいきなりOS部隊とゼロ界で合流して、なんだ、よく会う感じなんだと、龍美、ハリーとお互いの再開を喜ぶ。
死生が連なる両世界。交わるはずのない世界がゼロ界の集合無意識下に揃う。
ハリーがどうしてもアイテム使ってみたいと言って、すぐゼロ界に来たようだ。
「虎太郎隊長、お疲れ様です」
久慈が挨拶を返す。
「ハリー堀田の死節対応、ありがとうございます。おかげで本人は無事にアイテムを得て、ここに戻ってこれました」虎太郎が感謝を述べる。
「こちらこそ、三弥栄の対応、ありがとうございました。ついさっきまで熊問(大)が発生していた所です」久慈は熊問の炎上を報告。
「そうですか、この兆候(死節者の連続や熊問の発生率)あまりよろしくないですね」
互いに懸念を共有する。
久慈と虎太郎が二人で話していると、久慈が肩をたたかれ振り返る。H2Bがいて、顎を動かし視線を向ける。
視線の先を合わせると熊問(小)がいた。
「三弥栄が急に熊問になった」
H2Bが久慈に報告する。
「え、またオレ何かやっちゃいました?」
全員が見つめる熊問(小)は三弥栄のようだ。




