『Hell side 3-9 炎上』
『Hell side 3-9 炎上』
わかったことがある。
死節者はOSとのリレーで発生する。
「対」とは呼ぶ者と呼ばれる者のペア。
三弥栄を呼んだのは龍美で、三弥栄がハリーを呼んだ。次、アイテムが発生すれば、ハリーが呼ぶ者になる。
ハリーのアイテム発生は三弥栄の翌日。翌日の対は初めてとのこと。ちなみに、龍美のアイテム発生後、三弥栄のアイテム発生までは凡そ1年の間がある。
そして死節者の選定。
「エキナ」と「メリア」2つの商業施設は基幹駅上に建設されて役割が同等であり、設備仕組み(地獄へ道連れ)を同じくする。
選定はこの施設に出入する者全てが対象であり、対の死節者との接触があった場合、保安セキュリティーの担当がその情報に触れやすく、ポータルとして機能する特務ELVの管理も行っていため、死節者を地獄へ道連れへと誘うシステムの根幹を担っている。
ナイスガイは納品業者。
H2Bはショップスタッフ。
久慈は買い物利用客。
三弥栄は警備員。
龍美はメリア事業部。
ハリーは会議に参加したモデル。
虎太郎は鉄道会社員。
今、残っている死節者は、こんな感じで、それぞれがこの「施設」内にいた所を「対」と接触して、死節者になった。
━━━━━━━━━━━━━━━
【16時00分 OK牧場】
「熊問」が大量に発生している。
死節者(ハリー堀田)の返還成功後、通常のゼロ界巡回任務に戻った久慈第一部隊は、OK牧場で熊問叩きに手を焼いている。
「だいぶ増え始めてるね、ボス」
ナイスガイが発生しては集まろうとする熊問をグーで殴り倒し続ける。
「勢い出ちゃってるな。こりゃ抑えられないかも」
久慈は後方で周囲の熊問発生を見渡している。
熊問題について対立する意識と言葉の暴走が指数関数的に増える。
SNSと同じ「炎上」がゼロ界を侵食する。
「三弥栄はH2Bから離れるな。本、なにか試せそうならやってみろ」
久慈が三弥栄へアイテム使ってみろと指示を出す。
「了解」
熊問と対峙した三弥栄は本の角で熊問の頭を叩く。
「ぽふぅ」と柔らかい音がする。効いた様子はない。
熊問が三弥栄の左手の甲に手を乗せて引きちぎった。
モゲる三弥栄の左腕。血しぶいて襲う衝撃と恐怖。
「ぐおおぁっつ!!」三弥栄が呻く。
見た目とは裏腹、熊問に備わる確かな絶命力。
血しぶいた箇所へパイプ椅子が炸裂する。
「腕っ!!しっかりおしっ!!」
H2Bの一撃。モゲた腕が元どおる。
物凄い破壊回復効果だ。
一瞬の内に腕がモゲて元に戻った三弥栄、ショックで気を失って倒れる。
「こりゃ駄目ね」
倒れた三弥栄をそのままに、H2Bは熊問の頭へパイプ椅子を振り下ろす。
「ごふんっ」
と言って熊問が潰れて消える。
H2Bのパイプ椅子はCT現象の否定。ダメージを壊すだけでなく、CTそのものも分解する。強い。
ナイスガイとH2Bの位置する場所で発生する熊問は即座に分解されて行く。
別箇所、集まる熊問を久慈が視認。
「逆方向!!既に集まっている!!」
無線で共有。
熊問が集まり重なり合って互いを貪り喰らう。
ナイスガイやH2Bの位置にいる熊問もそちらを目指す。
喰らい合いながら固まって行く熊問。
発生した熊問全てが対立による連結を求め暴走する。
そして1つになった。
人型をして、黄色ジャージの上に赤い半切れのTシャツを来た存在、熊問(大)が生成された。
Tシャツにエンコードされた「言葉」は、
「熊は人類。故に駆除」
人類の分裂へと向けられている。




