『Hell side 3-7 catch me if you can』
『Hell side 3-7 catch me if you can』
三弥栄は死節管理部の前にいる。他、久慈とナイスガイ、3人は14時を待つ。
概略はこうだ。
14時になったら死節管理部の扉を開ける。三弥栄が声を掛けた女性がアイテムを取るならば、地獄へ道連れが発生しているので、三弥栄が地獄へ道連れに入って、彼女を捕まえる。捕まえたら繋がれたケーブルをナイスガイパワー(能力ではなく自力)で引っ張る。
「どえらいアナログ対応っすね」
「そう、ここはアナログが確実だ。ナイスガイパワー(自力)を信じろ」
「俺に任せてちょ」ナイスガイは全身を力む。握った鉄網のケーブルが軋む。
「ええ、そりゃ信じるしかないんですけど、捕まえるってどういうことかって話しですよ。うわ、すごっ」力むナイスガイの筋肉の蠢きを横目に三弥栄が言う。
「簡単に言えば、水中だと思え。泳ぐんだ。ただ、息はできる。地獄へ道連れは抵抗圧が強い。お前も同じように捕まえて引っ張られたんだ。お前の対、智川にな」久慈は智川に出来たんだから出来るよな的な言い回しである。
「なるほど。泳ぎは得意です。クロールと平泳ぎ行けます」
「そうだ、泳いでストレッチャーに乗った宇宙服を捕まえろ」
「了解」
「問題がある」
「問題?」
「そう、幻覚幻聴が酷い。本来、死節者へ向けるはずの幻覚幻聴、見ちゃだめ聞いちゃだめ声出しちゃだめだと言ったアレだ。死節者はお前の時と同じく感覚遮断が施されているが、お前はそのまま行く。見えるし聴こえるが、お前の魂が対象標的ではない。ただのノイズだ。気にせずに捕まえろ」
「ど、どんな幻覚幻聴なんでしょう?」
「簡単に言うと、ゾンビに喰われる。地獄に道連れだからな。ホラー映像だ。そして、ゾンビが群がる先に死節者はいるから目指せ」
「行く時よりきつくないっすか?」
「そのとおり、ただ死ぬわけじゃない。幻覚だ。喰われても安心だ。時間を逆算すると、智川は三弥栄を10分で捕まえて戻ったことになる。負けるなよ」
「了解!!」
三弥栄とナイスガイの腰にケーブルが巻かれる。
三弥栄とナイスガイで地獄へ道連れからハリー堀田を捕まえ出す。
14時00分、死節管理部の扉を開けると膜のような境界。
地獄へ道連れが始まっている。光が屈折して視界がボヤける。遠目、断末魔の表情が密集している。ここを泳ぐ。そう、魂の海へ飛び込む。三弥栄は地獄へ道連れの意味を知る。
「三弥栄、行きます」
飛び込んで進む。先に魂の群がりが目視できる。確かにゾンビに群がられて喰われる生者の様だ。三弥栄は加速する。
「助けて」
「苦しい」
「寒い」
「お腹が減った」
「この子を殺さなきゃ私達が死ぬ」
「神様どうか私にこんな酷いことをさせないで」
「ママ、なんで私を殺したの」
洒落にならない懺悔と悔恨が聴こえる。
「幻聴の度が過ぎる」三弥栄の心は抉られる。
泳ぐ足や手を掴み、魂に齧られる。
腹を抉られ、三弥栄のはらわたが飛びでる。それに喰らいつく魂の群れ。言われたとおりのゾンビ映画だ。酷いのは糞の臭いまでする。
「幻覚の度が過ぎる」三弥栄は血の気が引く。
「かあぁぁぁぁっつ!!!」
三弥栄は声を発した。声を出しちゃだめなのは死節者本人なら良いだろってことで、ありったけの声を出して幻聴幻覚に抗う。痛くはない。見えて聞こえて臭いが、痛くはない。
「進め」
声を出して進めと自分を鼓舞する。
群がる魂を掻き分け、ストレッチャーを掴み、宇宙服の上から抱え込む。
「トン、トン、トン」
「トン、トン、トン」
「トントントントントントントン」
ケーブルを337拍子で叩く。
同時に物凄い力で引っ張られる。
扉を足で跨ぎ横向き垂直踏ん張ったナイスガイがケーブルを引き摺り出す。自力だ。
「ゔがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
手でケーブルを巻き上げ、ストレッチャーを掴み上げた。
14時08分、地獄へ道連れからの救出完了。
一方、OSは水中ドローンを改造したパワーマシンでケーブルと回収者を運び、死節者に絡ませて、機械でケーブルを巻き上げるシステムを採用している。




