『Hell side 3-6 龍身ちゃん』
『Hell side 3-6 龍身ちゃん』
「ハリーちゃん」
龍美が声をかける。
「来ないでっ」
愛くるしさ(熊問)を喰らって火を吹いた龍美に恐怖している。
「怖がらないで、ハリーちゃん」
龍美の左手が喋る。
「初めまして、わたしドラミ」
左手はハンドパペット化している。熊問を喰らったドラゴンの姿はもういない。ディフォルメされたパペット型ドラゴン「ドラミ」。龍美は戦闘型と使い分けが可能。
「さっきはありがとね、ドラミちゃん」
龍美がドラミに話しかける。
「ううん、ハリーちゃんが見てるの知らずにやりすぎちゃった。てへぺ龍」※てへぺろと同義
よく見るとドラミは角にリボン、爪にネイルを施し、まつ毛エクステをしている。
「女子」
ハリーが気が付く。ドラミは「女子」だ。
かわいいの世界でシノギを削る者同士、無言の理解がそこにあった。
この子は「かわいくなろうとしている」
それで十分であった。お互いの詩が聴こえる。
「今日のネイル、超かわいい」と。
ハリーがポッケからグミを取り出して「食べる?」とドラミに聞く。
「うわー、何このグミ、バリうまそうバイ」ドラミがはしゃぐ。素の田舎言葉。九州産龍のようだ。
「さっき(熊問)食べたばっかりでしょ」龍美が突っ込む。
「ありゃ、まずかバイ」ドラミが返す。
ハリーがケラケラと笑う「まじうける」
涙は収まり、前を向いて立ち直る。
「まったくもう、味にうるさいんだからドラミは」
「あちしはグルメったい」
ハリーが違和感を持つ。ドラミが話すとき、龍美が口を不自然に閉じている。
「りゅうみぃの腹話術?」ハリーが確認する。
「え?何言ってんのハリーちゃん、ほら、ドラミちゃんだよ」
「ハリー、見て、鱗のラメかわいくない?」ドラミがクネって鱗を煌めかせる。
「やばいまじ」ハリーがドラミのクネり(腹芸)に笑う。
腹話術疑惑を拭えないが、ハリーを恐怖させたはずのドラミにより救われた。感情の二刀流。
「ドラミは悪くない」
ハリーとドラミの「かわいい共鳴」により、ハリーは熊問を頭から喰らって火を吹いたドラミの肩を持つ。
「ハリーのアイテム、超気になる。取ったら見せてね」
ドラミはそう言ってバングルへと戻った。
「だって、どうする?ハリーのアイテム、取りに行く?」龍美がこの段階での気持ちをハリーに確認する。
「うん、興味はあるけど、どうしよう。取らなきゃ死んじゃうんでしょ?」
「正直、まあまあの早死にしちゃうよね。今は気が付いたらアイテム取って終わるシステムだから、取った方がいいよ、ここ以外でアイテムの能力は使えないから、取った後は無理してここに来なきゃ良いだけだし」
「そしたら、取りに行く。怖いけど、ドラミみたいな可愛いアイテムだったらいいな」
ハリーはアイテムを取りに行く。
「キュートはジャスティス」
ハリーは目を閉じ、残る恐怖を振り払うよう、決意を込めて自分に言い聞かせた。




