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7【母たちへの告白】

 ひとしきり泣いて、私達はピソーラ ハルキア王を真ん中にフェルゼンと三人並んでソファーに座った。

 前世でもリビングのソファーに座ってテレビを見る時の定位置だった。何故か自然に同じ順番で座っていた。


 三人とも目が腫れそうになっていたから、私が癒しの魔法をかけましょうと言ったら、


「豊子、俺にもできるよ」

 そう言ってフェルゼンがピソーラ王を超えて、左手を私の目に当てて魔法をかけてくれた。すっきりと優しい魔法だった。

「あ!俺がしたかったのに!」

 ピソーラ王が子供っぽいセリフを言う。

「じゃあ、太一には私が」

 そうして、私が国王陛下の目元に魔法をかける。

 そしてフェルゼンにも。


「「ありがとう」」


 向かいには二人の美しい王后。すこし落ち着いてきたかしら。


 代表して説明するのは、やっぱり元家長のフェルゼン(健一)だった。


「母上は、父上の左手に花の紋章があるのをご存じでしょう?」

「ええ、同じ紋章の人を探し回っていたと聞きますわ。それで、貴方が生まれて、同じ紋章があったことにどれほど喜んでくれたか」

「そうでしょうね」

「そして、その紋章はもう一人、プリンセス マリーにも有るのです」

 そのタイミングで、国王が私の左手を両手で包んで、甲の方を撫でる。


「俺達三人は、他の世界で生きた記憶を持つ家族だったんだ」


「まあ」

「それで今日、国王陛下とマリー姫が初めて会うのにあんなに泣いていたのね」


「そして、俺、フェルゼンの前世では、このマリー姫の前世の女性と恋人同士で、夫婦だったのだ」

「まあ、すばらしいわ」

「本当なの?マリー」

「そうなんです。お母様」

「じゃあ、陛下は?」

「私は、二人の夫婦の養子として、家族に入れてもらったんだよ。

 ね?」

「うん。ふふふ、また会えるなんて夢のようね」

「そうだな。しかし、俺なんて子供が父親なんだぜ。ややこしい」

「私だって。でもそんなことはいいよ。また会えたんだからね」

「そうね。本当に嬉しいわ。お母様、この三人の中では、私が一番に病気で死んでしまったのです。その後は?」

「もちろん俺だよ。豊子と同じような病気でね」

「そして私が健一父さんの死を看取ったんだ」


「え?」

「なんかそれって」


「そうなんだ。なのに、次に生まれた変わったのは順番が逆なんだ」

「ほんとそうね」

「しかし、そんなことはどうでもいい」

 フェルゼンが立ち上がり、ソファをぐるりと回って私の前に跪く。


「やっぱり、俺は今世でもお前と一緒になりたい。まだフェルゼン ハルキアとしては二度しか逢って無いけど、君が可能な年齢になったら、結婚してください。お願いします」


「フェルゼン、なんかすごく必死」

 ピソーラ王がぽそりと呟く。


「だって、マリー姫は悪役令嬢だったけど、俺には推しのキャラだったし!中身は豊子だし!」

 そう言いながら、指輪のケースを開く。


 フェルゼンが私たちにしか意味の分からない言葉を言うのを聞いて顔が赤くなる。


 ちょっと、展開が早すぎない?まあ、なんだか初めて感は無いけど。


 デジャヴってこういうのかしら?いえ、これは確実に二度目の出来事だわ。


 フェルゼン殿下が手に持っているものを見てまた驚く。

「こ、この指輪」

 七つの小さなダイヤモンドがお花のように配置されていて、その周りをプラチナの台座とリングが一体になっている。前もこんなデザインだったわ。


「うん、前世まえの時も俺が決めたから覚えていたんだ。マリー姫はまだ小さいけど、一応えーっと11号にしているんだ。手袋の上からも出来るしね」


 そうして私の左手に手袋をはめて、いそいそとその上から薬指に指輪をはめてくる。


 そのフェルゼンの顔をずっと見つめていた。


「ほう」

 お母様のため息が。これはフェルゼンが怒られるのでは。

「素敵。良かったわねマリー」

「はいお母様。私もフェルゼン様がいらっしゃると分かってしまっては、他の方はあり得ませんわ」

「ほんと素晴らしいわね。良かったわね国王陛下」

「そうだな。今度は近い将来、マリーが私の娘になるんだ」

 ・・・太一の義娘?わたしが?まあ、そうなるわね。


「ただね、フェルゼン殿下」

 フェルゼンがお母様に呼ばれる。

「はい!」

「うちの国王陛下にお話はまだですわね」

「はははい」

「ちゃんと説得するんですよ」


 真剣な覚悟を決めたような顔で、フェルゼンが私のお母様を見つめる。


「もちろんです!」 


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