6【花沢家集合】
フェルゼンは、
「すぐに終わるので、ぜひ、母上も来てほしい」
と、パーティーのホストであるハルキア王后も連れて、
王族が親類に会う時だけに使うというプライベートなリビングに案内された。
より近くで会話が出来るようにと、国王陛下が使うものでは一番狭いリビングだ。
室内は人払いがされていて、従者も護衛もいなかった。
そこには、フェルゼンと同じ、紺色の髪を長く伸ばして束ねた金色の瞳の男性が立っていた。
王冠は被っていないけれど、王冠を被った肖像画はここの途中にも掲げられていたので、この方が ピソーラ ハルキア国王なのだわ。
でも、もしかして、と私が国王様の隣に立っているそっくりなフェルゼンの方をちらりと見ると、彼は大きく頷いた。
そして国王陛下をもう一度見ると左手の手袋を外して右胸を抑えていた。
ピソーラ王は私に向かってにっこり微笑む。微笑みながら右手の人差し指で頬を少し掻いている。
この笑い方はやっぱりあの子だわ!
そして、図書館では我慢したけれど、お母様許してください。
私はすこし声がかすれていたかもしれないけれど、一言お願いする。
「あの、ハルキア王后、それにお母様、今ここで目にすることはできたら覚えないでいてほしいです」
「「え?」」
呆気に取られている二人の王后を尻目に、私は二人に掛け寄っていく。手袋を外しながら。
「健一!太一!」
「豊子!」
「母さん!」
あああーっ
わーん
私たちは再び左手を重ねた。
下からフェルゼンの手が、そして上からはハルキア国王の手が重なる。
でも私には健一と太一の手だった。
そして右手で抱擁を。まるで三人で円陣を組んでいるみたいだった。身長はかなりデコボコしているけれど。
傍らに二人の王后がいるのに。私はかつての家族の存在を確かめるのに夢中だった。
二人の王后はさぞかしびっくりしただろう。
それでも私たちは抱擁をやめる事が出来なかった。
だって、本当に愛する家族だったんだもの。
健一とは高校生の時に告白されてからのお付き合いだったし、太一は里子を求めて施設を訪れた時に、健一と二人で、この子しかいないよねって直感がぴったり合って決まったんだもの。
運命って何度もめぐるのよ。自分でもびっくりするわ。
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