21【焼き肉の日】
ナルシオ兄様に殿下と一緒に夕食をどうかと誘われた。
先日、夕食に焼き肉を作ってみた。
テーブルにグリルをおいて焼きながらというのは無理なので、厨房で玉ねぎとかと焼いてから出すパターンだったけど、その後兄様と食べながらポロリと言ってしまった。
「普通の焼き肉が食べたい」
「それは、これより美味しのか?」
「ええ、もちろん」
私の料理に嵌ってくれた兄様は、いつも私の料理を嬉しそうに食べている。そして、私自身にはもっとおいしい前世の料理の記憶があるのもばれてしまっている。
そもそも、熱々をふうふうするのがお行儀悪いとされていて、この世界の貴族の料理は基本温い。寒いときに器を温める発想とか、鍋とか無いし。
このゲームとか世界を作ったのは、ネコ科か猫舌では。
「お兄様は猫舌じゃないですよね」
「ああ、平民のレストランとかは熱した鉄板に乗せられた肉とかが出てくるのが上手いんだよな」
「じゃあ、その鉄板を探して使いましょうか。網でもいいんだけどな」
クミンやミミに情報を聞いて、鉄板を造っている工房を尋ねるとさっそく丁度良いものがあった。
「おじさん、この鉄で出来た網と、銅板をくださいな」
・・・あとは焼き方よね。屋内のテーブルでやりたいけど、煙が出るだろうし、お屋敷の装飾が焼き肉臭くてばれたらお母様が怖いし・・・。
屋外バーベキューでいいか。庭で屋敷の勤め人たちも一緒に慰労の会でもしようかな。
その後、お兄様と相談して、レンガや炭、薪などを用意してもらい、お屋敷の庭で焼き肉バーベキューをすることになった。
私は、試行錯誤をしながら何種類かの焼き肉のたれを作ってはちょっと試食したりした。
「よし、これで完璧じゃない?」
素人にはホルモンのところが難しいので、普通の肉の色々な部位と、焼くようの野菜もカット済み。
あとは、大人の勤め人のためにエールやワインも用意。
「俺たちはなんて部下想いの貴族なんだろう」
お兄様がこの世界の貴族にない試みに感動している。
「さすが俺の聖女だマリー」
「私は聖女じゃないです。
こういう事の積み重ねが身近な人の忠誠を得られるのよたぶん(昭和や平成の時代は?)」
そして、貴族スタイルだけどかなりラフな健一も呼んだ。お兄様がぜひ呼んでくれと言ったからだ。
「今日はお招き有難うございます」
「フェルゼン殿下、母上に見せたらとんでもないスタイルの食事だから内緒ですよ」
「あら、お母様は冒険者だったから大丈夫よ」
私たちは、他のスタッフが無礼講で楽しめるよう、一段高い場所にコンロセットを用意してもらって、始める。
「火をつけるぞ」
「はーい」
「ちょ、殿下、なんか手馴れてるな」
「まあ、割と数こなしているからな」
「そうね、良くキャンプでやったわね。あの時は市販のたれだったから、ちょっと自信は無いけど」
健一がたれを入れた小皿をクンクンして小指で舐めている。
「いや、結構再現できているんじゃないか?うまそうだ。太一も連れてきたかったんだけど」
「まあ、無理でしょ、たれのレシピをメモっといたわ」
「サンキュ」
手渡したメモをポケットに入れている。
「ほんと、やり取り見ているとお前らは熟年夫婦みたいだな」
兄様は正解です。
「そりゃね銀婚式手前ぐらいまでは一緒だったしな」
「そうね」熟年夫婦って何年以上かしら。
ジュ―。
「うーん良い匂い」
「俺、懐かしくてうれしくて涙でそう」
「やだ健一。私もよ」
「こりゃ美味い!」
「お兄様お口に会いました?」
「今までで一番うまい肉料理だ」
「良かった!」
「うん本当にうまいよ豊子」
「ありがと。あと白ご飯が欲しいんだけどね」
「それな。俺も探しているんだよ」
東方の攻略対象が出てきたら、聞いてみてもいいよね。
しばらく、平民クラスのことを聞かれて、楽しくて明るい級友達のことを健一と交互に話しているのを聞いていた兄様が、今度は会長をやっている生徒会の事を言い出した。
「今、中学三年生にカタゴヤ帝国のグラル第一王子がいるだろう?」
「ええ」サクラと同じ国の、この方も卒業すると立太子をすると言ってたっけ。
「あの方から相談を受けてて。俺はフェルゼン殿下とマリーに聞いてから答えようと保留にしてもらっているんだ」
「もしかして、サクラ様の件ですか」
「そうだ」
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