2【王女誕生】
勢いで書いていたらつじつまが~
ちょっと修正します!
ここは何処かしら。さっきまでいた天井とは風景が違うわね。
夢だったのかしら。
「あう あうぅ」
手を伸ばしてみる。ふふ、マリーゴールドは今日も私の左手で咲いているわ。何故か手がころころしているけど。
「あらあら、おきましたか?マリー殿下」
誰かしら、クッキーのパッケージに出てくる小母さんみたいね。水色のワンピースに控えめにフリルの付いたエプロンが素敵。
「このばあやがお母様を呼んできましょうね」
私の周りには真っ白なフェンスのようなものがぐるりと囲んでいた。
しばらくして、美しい女性がやってきた。
そうだわ、この人は私のお母様。
「おはよう、マリー」
そう言って美しいお母様は私のおでこにキスをしてから抱き上げて、お乳をくれる。
「それにしても、乳母を雇わずに王后陛下自ら授乳されるとは、さすがでございますね」
「このぐらいはマリーと一緒に居たいもの。ねえ。可愛い私の天使」
「あい」
「まあ。賢いこと。分かってくれるのね」
ばあやがお母様の肩に白い布をかけると、私は縦に抱かれて背中をトントンされる。
げっぷ
やだこれ。
抱えられているお母様の肩越しに見えた鏡の中の私は、赤っぽいオレンジ色のような朱金と言われる色の髪に赤い目の赤ん坊だった。お母様とおそろいのこの色がお気に入りよ。
赤ちゃんはつらいわ。げっぷよりつらいのがオムツの交換だったけど。
私の名前はマリー。
プリンセス マリー ディアナ と呼ぶらしい。
プリンセスですって、我ながら凄いわね。
今度も激動の人生を歩むのかしら。わがままは言わないから長生きしたいわ。生まれたばかりだけれど。
ここは小さくても豊かな国、ディアナ王国の私は第一王女。若くして王位についてしまった父様と同じ国の貴族から輿入れした王后の母様。若い夫婦が統治する国だけど、中々にうまく回っているようだ。戦争がないけれど、魔物がいる世界だった。
オムツは、立つ事が出来た生後十一カ月で昼間は取ってもらえた、おねしょは止められなかったので夜は付けられちゃったけど。赤ん坊の括約筋って全然だめなのよ。
魔物が出る世界なら、魔法もあるんじゃない?って思ってたらありました。
周りの人には私の手の甲のマリーゴールドの紋章が凄い可能性を秘めていると思われている。
これは前世から持ってきただけのものなんだけど。
魔法を持つものは私とは違う模様だけど手の甲や心臓近くなど、生まれた時に具体的な模様のような紋章を持っているから、その時点で魔法使いかどうかが分かるそう。
父様と母様にももちろん紋章はあるのだけど、幾何学的な模様で、魔力はあるけど直接使えるものではなく、杖や指輪などで補助して使うそう。
でも、私の紋章はあまり見たことがないと、紋章を専門に研究している国の魔術師団所属の人は言ったそうよ。
基本的には紋章を隠して過ごす。杖などを持ち歩いて魔法使いと言うことは示せるのだけど、紋章の模様によっては何の魔法が使えるかしれてしまうそう。魔法の種類によっては明るい人生ではないこともあるそうよ。
そしてようやく舌足らずながらも話せるようになった私は、三歳からずっとばあやと一緒に王城の敷地魔法の訓練場と図書館に通っている。
私の属性は火と聖属性魔法。それが判明したときは、お父様とお母様は、聖属性が使えることを隠しなさいと、それはそれは強く言われたの。
聖属性を使える人は、教会がスカウトしに来て、一生修道院で患者の治療をさせられるそう。
でも、病気で苦しんだ前世の経験がある私には、この魔法を使わないという選択は無かったわ。何とかコッソリ練習して、ものにしようと訓練場の兵士たちに内緒にしてもらいながら治療の練習をした。でも、私自身は医療の知識は一般の人よりは少しだけ勉強したけど。健一が専門家だったもの。けれど、私は看護士だったし、少しは効果的に使えたらいいなと、図書館に通って簡単な医学書などを物語の本に挟んでコッソリ読んでいた。この世界の医学はなんだか中途半端だったけど。看護士目線では。
図書館は王城の外側のかつては砦に使っていた門の側の大きな建物を利用していて、外の民も利用しやすくなっている。だから、まだお城から出ることのかなわない私が唯一、外の人を見る事が出来るこの場所を気に入っている。もちろん本も好きだけどね。
図書館通いも五年を過ぎて八歳になったころ私は今日もお城の中の目的の建物に行く。
「おはようございます、館長先生」
「ようこそ、プリンセス マリー。今日も読書ですか?」
「はい。私ももう二年後には入学しますのでお勉強をしなくては」
お気に入りの窓際には、私のために少し低めの椅子とテーブルセットを置いてくれている。お城の図書館は、貴重なほんの保険や管理も兼ねて少し入館料を取っている。子供料金はないので、子供が来ることがない。子供向けの本も少ないしね。つまり他には子供用の机は無かった。
テーブルセットはマリーゴールドの絵が塗装されたものなので、それだけで私専用とされている。
「おや、殿下の席に誰か座ってますね。席を譲ってもらいましょう」
「大丈夫よ。読書の邪魔をしては悪いわ」
今日は確かにその席には先客がいた。私用の席に座れるのはやはり子供。
その子は私に気づくと振り向いて挨拶をしてくれた。
「もしや プリンセス マリー ですか?
初めまして、ご挨拶させてください」
紺色の髪で金色の瞳。私より年上の男の子。商家の息子さん風だけれど、この図書館の外側で見かけるやんちゃな子と違って、すごく落ち着いて大人びて見えた。
紺色の髪に金色の瞳。絵本に出てくる王子様みたいになるのではないかしら。
「あなた、いきなりなんですか」
「ばあや、いいから」
「はい。失礼しました」
「ごめんなさい、どうぞ」
「突然で大変失礼しました。
私は普段はフェルゼンと呼ばれているのですが。貴女にはどうかケンイチと呼んでいただきたいのです」
普通は右手を左胸に当てて少しお辞儀をするのがお作法なんだけど、
ケンイチは反対に左の素手を胸に当ててお辞儀をした。
その手には、私と同じマリーゴールドの紋章があった。
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