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18【夕食の席で】

 「私のところにも報告は上がっている」

 冒険者ギルドで聖女のサクラと会ってしまった私は健一に半ば無理やり王宮に連れていかれて(勿論ミミも一緒よ)そこでドレスをレンタルされ、ミミはメイドの服を借りて、ピソーラ(太一)国王陛下達の食事に呼ばれた。


 もちろん一番上座にはピソーラ。その次にはフェルゼン王子殿下、その隣には私、マリー ディアナ。フェルゼンの向かいにはピソーラの奥さんのアザレ王后陛下、改めて言うと彼女は金髪碧眼のすっごく可愛い女性で、ピソーラとフェルゼン達を愛情深く支えてくれていることが分かる。

 以前、私たちが出会うためのガーデンパーティを開いてくれた王后陛下には、私達三人の事情は伝えてあるそうだ。


 他のお子さんたちは、もっと早い時間に夕食を終えて、すでにそれぞれの寝室で寝るまでのひと時に入ってるそうだ。


「早く、マリー姫の席をそこに固定して、この風景が日常になればいいわね」

 とニコニコしておっしゃってくれている。

 優しいお姑さんになってくれそうで、私も楽しみだ。


 あ、ピソーラ(太一)陛下相変わらずニンジンをはねている。生まれ変わっても好き嫌いは変わらないのか。


「サクラは、隣国のカタゴヤ王国の貧しい平民の娘として生まれたが、幼いころからぶつぶつと訳の分からない言葉を話すので、両親はとてもじゃないが、ぎりぎりの生活の中そんな子は育てられないと、孤児院に預けていたそうだ」


 ピソーラがパンで皿に残った肉汁を吸わせながら話す。日本人には行儀の悪い行為で、生まれ変わってもなかなかできなかったらしい、私の躾のせいで。けど、今は私もたまーにやる。ソースが美味しい時か、平民の食事処でパンがあまりにも固いときとかだけどね。


「そして、五歳の時の教会の魔力検査で、聖魔法に引っかかった」


「そうですか」


「聖魔法に引っかかった女子は、この辺りの国では聖女に認定し、平民なら貴族の養女に迎え、貴族として育て、王族に嫁がせて、その国が聖女の恩恵を受ける。そういう事になっている。まあ、あの筋書きと変わらない」


 フェルゼンも私も知ってることを確認するようにつぶやく。


「だが、あのサクラっていう子は、その教会で奇声を上げて喜んだらしいが、聖属性の数値がまぐれのような、擦り傷の治療さえできないだろうという皆の見解だったので、貴族たちは誰も養女にしたがらなかったそうだ」


「まあ、聖女様ですのに?」

 アザレ陛下が相槌のように言葉をはさむ。


「だが、放置することも出来ず、カタゴヤ王は借金が多くて今にも取り潰しに会いそうな男爵家の返済を肩代わりするという条件で、あの子を養女にするよう勅命を出したのだ。

 男爵の借金の理由は領地で起こった飢饉によるものだったし、聖女としてきちんと育てば農地も豊作に転じて、領民のためになるだろうという思惑もあったらしい」


「それで、どうなったのですか?」

「貴族の養女になったにもかかわらず、自分はちゃんと教養があるから、貴族としての勉強はいらない。それより学園へいく勉強を始めるまでは何もしないというスタンスだったらしい」


 何もしなければ、わずかな魔法は育たないわねえ。


「ふん、俺たちはこんなに警戒する必要は無かったかもしれないな」

 フェルゼンはそういうけど、


「油断は禁物だわ。そもそも、本当の聖女になるつもりが全然なくて、聖女の称号を利用するだけの存在なんて考えただけでも怖いわ。それに聖女様が入学するのは来年だと思っていたもの、」


「ああ、そうか、そうだな。引き続き警戒しよう。だが、もし学園で逢うことがあっても、サクラから距離を取れ、豊子」


「健一もよ」

「もちろん」


「悪いけど、ナルシオ兄様に頑張ってもらうわ、とは言え、ディアナ王国にとばっちりが来るのも困るんだけど」


「そうだな、ここは生徒会長になるナルシオ殿下にもある程度打ち明けて、協力いただいた方が良いかもしれないな」


「でも、もう明日は新学期よ」

「明日もう一度、いや、今から話に行こう」

「そうね、なにか些細な約束があっても太一からの呼びかけなら優先せざるを得ないでしょう」


 私は、三つ編みおさげに戻らず、健一もフェルゼン王子のスタイルのまま、ディアナ王国の屋敷に戻り、玄関側の応接でナルシオ兄様を待ち伏せた。


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