表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/30

17【聖女のイメージ】

 ナルシオ殿下が去って。一気に不機嫌になるサクラ嬢。ナルシオ殿下が去った後はあからさまに態度も変わってる。斜に構えて腕組みして・・・。


「では、行きましょう。こちらですわ」

 王女として鍛えられているからか、サクラの態度を気にしない風の豊子の声掛けに動き出す。


「それにしても、あなた達も学生なんですか?えっとケンイチさんとトヨコさん」

「はい、ナルシオ殿下の同級生なんです。俺たちは平民ですからクラスは違いますけどね。

 な!トヨコ」

「ええ」


「平民・・・?でも髪と瞳の色が・・・でも名前が」

 サクラは何やらぶつぶつ言いながら俺たちの前を歩いていく。


 なんか聖女らしくないな、って思って豊子をみると、分かってくれたのか

 口に手袋を当てて目が笑っている。


「あなた達、このあたりの国では変わった名前ですけど」

「ああ、俺たちは遥か東の国の、魏という国の出身なんだ」

「そうなの」

 三国志好きの祖父ちゃんの本を読んでて、この設定を豊子や太一と考えていた。

 確かに後に出てくる攻略対象で、東洋からやってくる中華風の貴公子もいたから、そこら辺を匂わせてごまかそうという設定だ。


「平民の中に転生者かと思ったけど違うのね」

 声が駄々洩れである。さっきのナルシオ殿下が知ってるサクラの個人情報は自分で言ったのかな。

「とにかく入学されたら、同じ学生同士ですね。どうぞよろしくお願いしますね。困ったことがあればご相談に乗りますよ」

 トヨコは外国から来たというサクラに親切心で言葉をかけるが。

「そうね、トヨコさんも見たところ、新入生ですよね?」

「いえ、私は飛び級入学をしていまして、先ほどのナルシオ殿下や、このケンイチさんと同級生になります。私も平民のクラスなので、ナルシオ殿下とはご一緒じゃないですけどね」

「そうなんだ。中等部の一年生なんだ。凄いじゃない。

 平民のクラスだったら私でも飛び級出来たかもしれないんだけどな。勉強好きじゃないから私もそっちが良かったんだけど、そうなるとイベントが・・・」


 イベントって言ったよ。やっぱりプレイヤーかな。


 また、俺はトヨコにアイコンタクトを送る。

 すると頷いてくれる。


 サクラは俺に話しかけてくる。

「二人は、ただの冒険者同士にしては凄く仲良く見えるわ、付き合ってるの?」

 ため口になったし、俺たちは先輩だっつーのまあ、平民のふりはしているけどね。

 それにド直球ですねー。ますます聖女っぽくない。


 でも、ここはびしっとお答えしますよ。

 思わず手もばっちりつなぎに行って、おい、つながせてよ。

「はい、俺たちは婚約しているんですよ、な」

「ちょっとケンイチ。声が大きい!」

 わ、赤くなるの可愛いぜ。

 こら、護衛のイガニス、離れたところで砂を吐くのをやめろ!


「それより、学園に入ったら、生徒会?を訪ねたいんだけど、生徒会長って誰なの?」

 生徒会には、確かに攻略対象が揃っている。まあゲームでは会長をやるはずのフェルゼン王子はこの通り平民のクラスだから生徒会に入れないんだよね。


「次は、さっきのナルシオ殿下に確定しています」

 豊子が教える。

 生徒会長は基本高等部や中等部にいる学生の中で一番身分の高いものがなる。現在は豊子じゃなくてマリーの兄さんのナルシオ殿下が一番上の身分だ。

 ・・・俺の次にね。


「え?ナルシオ殿下なの?

 フェルゼン様じゃないの?」

「さくら様はフェルゼン殿下にお会いしたいのですか?」

「そりゃそうよ、正統派王子様って感じでしょ?

 さっきナルシオ殿下もハンサムだしなのに、王族にしたら気やすそうで良いなと思ったけど、やっぱり王太子になる人に会ってみたいじゃない?」

「確かに、ナルシオ殿下はカッコいいですよね。私は街で売られているブロマイドしか存じませんが」


 豊子、さっきからのそれは俺への反撃なのか?

 それにしても、そうなんだ、この国にはアイドルとかはいないんだけど、代わりに王族のブロマイドが売られている。ゲームで見かけたスチルみたいな写真だ。


「え?ブロマイドがあるの?」

「ええ、これですよ」

 と言って、ポケットから出したカードケースを開けて、俺の目の前で、正装した俺のブロマイドをサクラに見せる。


「わあ、いいなー。あ、これSSRのスチルじゃん」

「SSR?」

「な、何でもないの」


 まあ、あのいかにも王子って格好のブロマイドは今の俺とはかけ離れているよな。

 髪型だって今みたいにくしゃくしゃしてなくて横に少し流して整えている。


 それを肌身離さず持ってくれてるんだよね。嬉しいぜ。


「でも、トヨコ、彼がいるのに、別に推しがいるなんて、彼氏さんも拗ねるんじゃないの?」

 ってサクラのセリフで俺を見るなよ!


「え?拗ねる?ケンイチ」

 なんだその可愛い顔は!

「拗ねないよ!だって俺にも推しはいるんだぜ、知ってるだろう?」


「え?ほんと?持ってるの?」

 サクラが聞いてきた。

「ああ。これ」

 そう言って、可愛い可愛いマリー王女殿下の、あっちの王城の近くの売店で買ったブロマイドを、ギルドカードと一緒に入れている定期入れみたいなケースから抜いて、サクラに見せる。


「まあ、可愛い、この子は誰ですか?(なんだ他の攻略対象とかじゃないのか、残念)」

「内緒」と言いながらカードにキスをする。

 なんか不穏なセリフも聞こえてきたんだけど。

 なぜ俺が他の野郎のブロマイドを持ってると思ったんだ!持つわけないじゃん。俺は前世から豊子一筋なのに。


 豊子はあっちをむいている。きっとまた茹で蛸状態だろう。


 あ、ミミもそこで砂を履くな!



お星さま欲しいです♪

ブックマークして頂くと励みになります!

それからそれから、感想とかって もらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ