第8話 アンナ様の事情
しばらく投稿しない期間が空いてしまい申し訳ありません。
引っ越しも終わり、新しい部署での仕事も慣れて落ち着いてきましたので投稿を再開したいと思います。
お願いします。
出発した馬車は街道を俺が歩いて来た方向の西へ進んでいる。
途中、俺が街道を見つけた辺りも通り過ぎ、更に西へ。
外は相変わらずの草原と遠くに森が見えるだけだった。
窓から外を見ているとお嬢様が話しかけて来た。
「タケル様……助けていただき本当にありがとうございました。」
「いえ、アンドレさんは残念でしたが、お二人を助けられて本当に良かったです。ですが、お聞きして良いのか分かりませんが、公爵家のお嬢様がお出掛けなさるには、些か護衛の人数が少ないと思うのですが。」
するとアンナ様は少し険しい顔をしながら話してくれた。
「今、私どもの国ではお恥ずかしい話、政争が起こっているのです。現国王は私の伯父であるバルトルト・フンベルト・リピリア4世です。伯父上は国を愛し、国民を愛し、良き国王と民からも慕われる善王です。
子どもも2人おり、後継者も心配が無く、王位の継承も安泰と思われておりました。
しかし、伯父上が病に臥せてしまわれてから、事情は変わりました。宰相のエンゲルス卿が伯父上を外部との接触が出来ぬように幽閉してしまったのです。伯父上は病に罹る前に後継者を指名していませんでした。王位を継ぐのは兄であるユーリヒ殿下か弟であるセドリック殿下、2人のどちらか1人。エンゲルス卿は弟派閥についている様です。セドリック殿下の婚約者はエンゲルス卿の娘で、王位継承されれば、影の権力者として国を好きに動かすつもりの様です。
そしてこれを機に、兄派閥と弟派閥の貴族達が自分達の利益になるように関わりだしました。
我が国の政情が不安定になった事で幾度も侵略戦争を引き起こしてきた隣国の帝国が兵を集めているとも聞いています。
今は身内で争っている場合では無いのです。
私達公爵家は先ずは伯父上の安全が第一と考えており、もし叔父上が後継者をお決めになっているのであれば伯父上の決定を尊重したいと思っております。今回は私達と考えを賛同するライマン辺境伯へ、お父様からの密書を届けに行っておりましたの。宰相に動きが明らかになってしまうと妨害にあうかもしれません。なので少人数で行動していたのですわ。それが裏目に出てこんな事になるなんて…」
なるほど、そういう事情があったのか。
「事情は分かりました。今はアンナ様の護衛を仰せつかる身でありますので、ご安心を。」
「そう言っていただけるなんて、とても頼もしいですわ。」
そう話していると御者台と通じる窓がノックされた。
窓を開けるとマルクスさんが少し不穏そうな顔を覗かせた。
「サトウ殿、またゴブリンが現れました。幸い、距離がまだ離れておりますので、サトウ殿の魔法で対処していただけないでしょうか?」
「分かりました!馬車を止めて下さい。」
俺は馬車のドアを開けて外へ飛び出した。
2024年11月18日:一部分かりにくい内容を補足追加しています。




