第6話 初戦闘
一つ前のエピソードにゼロイン描写を入れていなかったので追加しました。
俺は丘を駆け登る。
山では無いので、頂上までは1分も掛からないで到着する。
丘の頂上から辺りを見回すと、先ほど俺が昼飯を食べていた所から、丘を挟んで反対側の道に、馬車が止まっていた。
ただ、様子がおかしい。
馬車は乱雑に止められ、剣士の様な人間が緑色の小人の様な者数人から馬車を守る様に剣を交えていた。
俺はすぐさま20式小銃のスコープを覗き込む。
「あれは…ゴブリンか?」
遠目だと分からなかったが、緑色の小人は俺達の世界だとゴブリンと呼ばれる魔物だった。
ハゲ頭に尖った耳、ボロ布を纏い、各々棍棒や錆び付いた剣を持った3匹が剣士と戦っている。
剣士の方は銀色の鎧を着て、ロングソードを使い、ゴブリンと戦っていた。
剣士の方は戦いに慣れている動きをしてはいるが、肩の鎧の隙間へ矢を受けており、3対1なので押され気味だ。
「あぁ、嘘よ!アンドレ!アンドレ!ちょっと目を覚ましてよ!」
よく見ると戦っている剣士の後ろには、もう1人、中年くらいの年齢の剣士が首に矢を受けて馬車に寄りかかるように倒れていた。
そばには剣士の肩を揺らし、必死に呼び掛ける少女の姿が見える。
矢が首に刺さった剣士は動く様子は無く、口からの出血が酷い。
恐らくもう…
「待てよ。あいつ等は剣と棍棒しか持っていないが、矢はどこから?」
今、剣士と戦っているゴブリン達は弓矢を持っていない。
俺はスコープを覗きながら少し離れた所を探す。
「いた!」
剣士たちが戦っている場所の後方に、弓矢を持った背の高いゴブリンが居た。
今まさに、そのゴブリンは矢を弓につがえて、ゴブリン達と戦っている剣士に狙いを定めようとしていた。
「危ない!」
俺は咄嗟に小銃のセレクターを単発に変え、口から息をフッと吐き、引き金を引いた。
辺りに銃声が響き、フラッシュハイダーから漏れ出る発火炎が光る。
距離は約300m。銃身が短い20式小銃だと確実に弾が当たるか心配だったが、ゴブリンの横胸へ5.56mm弾が吸い込まれるように刺さり、反対側へ血飛沫が飛び散ると、そのまま倒れ込む。
先ほどゼロインを行っていたのが功を奏したようだ。
「よし!」
そのまま続けざまに剣士と戦っているゴブリン達へと銃口を向ける。
ゴブリン達は先程の銃声に驚き、様子を探るように剣士から少し距離を取ったようだ。
剣士も何事かという顔をしている。
先ほどまでは鍔迫り合いをしており、射撃すると剣士に当ててしまいそうで、難しかったが、今は射線から剣士が外れている。
「そのまま動かないでくれよ!」
俺は再び短く息を吐き、立て続けに3匹へ向けて引き金を引く。
1匹目は頭に当たり、血飛沫が飛ぶ。
2匹目は銃声に驚き、固まっていたところを胸に弾を受けて倒れ込む。
3匹目は頭が吹っ飛んだ仲間を見て、驚愕の表情を浮かべている顔へと弾が吸い込まれていった。
「これで全部か!?」
馬車の周りを見るがゴブリンはもう居ないようだ。
こうして、俺の異世界での初戦闘は終了したのだった。
馬車の方を見てみると、剣士がこちらを見ている。
流石に銃声とフラッシュハイダーから漏れ出る発火炎で居場所がバレたようだ。
「取り敢えず近づいてみるか…」
俺は小銃を手に構えつつ、ゆっくりと丘を下っていく。
世間はゴールデンウィークということでお休みの方も多いのでしょうか。
私は残念ながら、祝祭日が関係無い仕事なので絶賛連勤中です。
本文中に【フラッシュハイダーから発火炎が光る】という描写がありますが、実銃では夜間以外はほぼ見えないと聞きます。ただ、映画等では光る方が視覚的に迫力が出るのでバリバリに発火炎が光ってます。特に昔のシュワちゃんやスタローンが出てくる映画ではよく見かけます。(プレデターやランボーとか。)
それと同じで論理で、そういう表現が良いかなと思って書いてますので「実銃はそんな光りません」とか言わずに楽しんでくださいね。




