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第5話 初めての異世界

 眩しい光が徐々に弱まってきた。

 光が収まり、目が慣れてくると俺は平原に立っていた。


「ここが…異世界?」


 キョロキョロと辺りを見回してみる。

 今立っている平原はかなり広い、生えている草丈も(くるぶし)まで有るかどうかで、歩きやすくはありそうだ。

 後ろは森で、少し平原を歩いてから振り返ると、森の更に向こう側には山頂に雪を蓄えた標高の高そうな山が見える。


「うん、まず間違いなく日本では無いな。」


 コレという確信は無いが、山や森の雰囲気が日本とは違うようだ。

 ピーヒョロロと空を飛ぶ鳥が鳴いている。

 見上げて見るとトンビのような鳥が空を旋回していた。

 この世界には魔物だけではなく動物も居るようだ。

 魔物という存在を思い出し、何が起きても大丈夫なように肩から下げていた20式小銃を手に持ち、セレクターを連発ポジションに入れる。


「さて、取り敢えずは人のいる所を目指さないといけないんだけどな。どちらへ行こうか。」


 先ずは方角を知るために、さっき準備したコンパスを見てみると、後ろの森は南、正面の平原は北となっていた。

 その場でぐるぐると動いて見るとコンパスの針も合わせて動いているので動作はしている。

 さて、森に入るか平原を進むかだ。

 うーん、でもどんな魔物が居るか分からない状態で視界の悪い森に入るのは危ないだろうし。

 やはり目の前の平原を進むしか無さそうだな。


「よし、平原を歩いて行けば、もしかしたら道があるかもしれない。」


 そう前向きに考えて、俺は辺りを警戒しながら平原を歩き出した。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーーーー

 ーーーーーーー


 出発してから3時間ほど経った。

 ちなみに、スキルの身体強化で歩くスピードも上がっているみたいだ。

 人間の歩く平均速度は時速約4kmと言われているが、今の俺はゆっくり走る自転車くらいの速度で歩いていて、殆ど疲れていない。

 恐らく3時間で20km弱は進んだのでは無いだろうか。

 特に何も大きな生物を見かける事もなかった。

 鳥は見かけるので何も居ない訳では無いのだろうが。

 変わらず周りを警戒しつつ進んでいたら、ようやく道を見つけた。


「やっと人の痕跡を見つけた。」


 道幅は5メートル程の、土が踏みしめられた未舗装路で、道の前後を見てみても人影は見えない。

 ただ、よく見てみると馬車なのか(わだち)の様な跡がいくつも見える。

 全く往来のない道路では無さそうだ。


「道を見つけたは良いけど、どっちに進んでみようかな。」


 正直、どちらに進んでもここが何処か分からないから変わらないな。

 うーん。


「よし!考えても仕方ない。こっちに行ってみよう。」


 俺は取り敢えず直感従って、東へ道を進む。

 相変わらず、何も出て来ない。

 まぁ、出て来られても困るのだが…

 なんて考えていると流石にお腹が減ってきた。

 こちらの世界に来た時は朝方だったが、太陽も真上に近くなってきた。

 何故か転移しても身に着けていた愛用の時計を見ると12時を少し過ぎた所だった。

 前を見ると、少し先に丘があり、麓に木が生えていた。

 道はその丘の向こうへ続いていて先は見えない。


「ちょうどいいや。お腹も空いたし、あそこで昼にしよう。」


 身体強化されてるとはいえ腹は減る。

 木かげで背負っていた背嚢を下ろす。

 無限収納があるが、何も背負ってないのも違和感があるので、ある程度の荷物は背負う事にした。

 背嚢から戦闘糧食を出す。

 今は発熱材で温めて食べるレトルト食品で火を使わなくても食べることが出来る。

 昼は白米とカレー、福神漬の王道セットだ。

 発熱材を入れ、少し待つ。


 しかし、本当に誰ともすれ違わないけど、この道はそんなに使われてないのか?

 早く街でも村でも着けばいいのだが…

 今は少しでもこの世界の情報が欲しい。

 なんて考えていると温まってきたカレーの良い匂いがしてきた。

 よしよしと封を開け、食べ始める。

 やはり異世界で食べてもカレーは美味い。

 モグモグと食べていると木かげをそよそよと風が吹く。

 カレーで火照った体に涼し気な風が気持ちいい。

 少し前まで訓練や家庭の事で忙しかったのだが、今は草原の木かげでカレーを食べている事に現実感がまだあまり無いや。

 食べ終わってから、ふと思い出す。


「あっ、そうだ。銃のゼロインをやっておかないと。」


 取り敢えず視界の悪い森から離れることに気を取られていて忘れてしまっていた。

 俺は今いる木の幹にナイフで印を付け、距離を取ってから、スコープを覗き込み、引き金を引く。

 少し斜めにズレたのでスコープの調整をする。

 2発目を撃つ。

 今度は印に綺麗に当たったので、(よし!)と思いながらセレクターを安全位置に戻す。


「ふぅ、そろそろまた歩き始めるかな。」


 さあ出発するぞと、荷物を担ぎ上げようとしたら、これから進む丘の向こうから、かすかに人の悲鳴が聞こえた気がした。

 俺は咄嗟に20式小銃を構える。


「キャー」


 やはり悲鳴だ!

 俺は装備を担ぎ上げて、丘を駆け登るのであった。


※後ほどのストーリーで必要なゼロイン描写を入れそびれていたので新たに追記しています。

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