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一章5話 異世界二日目 情報収集①

 異世界二日目の朝。すっきりとした気分で目が覚めた。窓から差し込む太陽の光を見るに、10時は過ぎているだろう。ベッドが気持ちよく、寝すぎてしまったようだ。

 えーっと今日は確かギルドに行って色々と確認をするんだったかな?

 とりあえず、起き上がり、身支度を済ませ、朝食を食べた。うん、やっぱりなかなか美味しい。異世界の食事レベルは元の世界と比較しても悪くないと思う。


 俺は今後の食生活に安堵しながらもギルドに向かい、受付でいくつかの資料を見せてもらった。俺が求めた資料は、遺跡の採取物に関するものだ。昨日は1層のものだけ調べて探索をしたが、今後のことを考え広く浅く調べていきたいと思う。


 まずは『ルカシャ』だが、これはクリスク遺跡ではまだ未発見とのことで情報は殆ど得られなかった。一応、このクリスク遺跡街の北部にある北方遺跡群という場所では発見された記録があることが分かった。

 『ルカシャ』の主な用途は最高級の薬品(ポーション)と魔術関係の材料。それと一部の高位儀式の触媒に使われるようだ。ただ一つ気になった事としては、『ルカシャ』は常に赤色らしい。つまり七色に輝いたりしないし、茎を折ったら色が固定されるという性質も無いようだ。うーん、不思議だ。


 それと昨日話題になった『ルカシャの灰』に関しては18層から27層の範囲で極稀に見つかるようだ。こちらは少量ながら発見されているが、どれも上級パーティーの発見でソロでの入手例は皆無のようだ。

 どうも、ソロで活動する人はかなり少ないようで、殆どの探索者は複数人でパーティーを組み活動しているようだ。数少ないソロ活動者も俺と同じ1層での小銭拾いか、せいぜい2~3層までの低層での探索がメインのようだ。理由は単純に危険だからのようだ。そしてパーティーでの活動も大部分が5~7層までで、8層以降で活動できるだけでもパーティーとしては注目される存在のようだ。

 ちなみに、『ルカシャの灰』が入手できる可能性がある18層以降で活動できるパーティーは殆ど存在せず、このクリスクのギルドでは片手で数えるほどしかいない。

 そしてこのレアモノの『ルカシャの灰』だが、もう一つ分かったことがある。それは今俺はコイツを所持しているということだ。昨日『ルカシャ』を見つけた場所に落ちてた光る石たち。アレの中の一つ、赤色の物が『ルカシャの灰』だった。どうもルカシャが燃えると、あの光る石になるらしい。『ルカシャの灰』の主な用途は光属性・炎属性の魔術の触媒だ。


 俺が入手した光る石は3つ。1つは赤石の『ルカシャの灰』、あとは青色とオレンジ色だ。ついでに残った二つも調べたが、青色の石は『ジキラルド結晶』と呼ばれるもので、オレンジ色の石は『トーライト鉱石』と呼ばれるものだ。

 『ジキラルド結晶』は『ジキラルド樹』と呼ばれる樹木の花から零れ落ちる蜜が固まったもので、高位の魔道具の核に使われるらしい。このクリスク遺跡では14層のエリアで稀に入手可能な貴重品だ。

 『トーライト鉱石』は遺跡内部にあるトーライトの鉱脈から採取されるもので、魔術や魔道具の燃料に使用されるらしい。こちらは入手法が少し特殊でクリスク遺跡では7層と17層、それと27層で入手可能で、深層ほど一度に大きく純度が高いトーライト鉱脈が見つかるらしい。

 7層だと苦労の割には見合わないので、運よく見つけたら回収される程度の存在だが、17層では大きな鉱脈が偶に見つかるようで、一攫千金狙いでよく探されるらしい。そして、そのせいで17層でのパーティー壊滅率は高い。なんとも怖い話だ。


 光る石たちはどれも『ルカシャ』ほどではないがある程度の価格で取引されるようだ。『トーライト鉱石』は少し価値が落ちるが、それでも、大銀貨で4枚から5枚――つまり金貨1枚程度の価格にはなるそうだ。一番高価な『ルカシャの灰』は金貨50枚程度で取引されるようだ。高い石っころだ。

 今は金があるから急ぎではないが、時期を見て、これらの石も売却してしまっていいかもしれない。まあ、貴重品のようだし、売却以外に使い道があれば、そちらを探してみてもいいかもしれないが。

 しかし、一番入手が容易な『トーライト鉱石』でも本来は7層まで行かないと入手できない。やはり明らかにおかしい。俺はこれらを全て1層で入手している。たまたまって感じでは無さそうだ。もしそういった例があるならば、もっと1層で活動する人は多いだろうし、そういった情報がギルドの資料などに残っているものだ。だから、これは本来有り得ない事なのだろう。

 問題はなぜそれが発生したかだが……うーん、かなり希望的観測を含むが、もしこの本来有り得ない事を再現させる方法があれば、今後のここでの生活はかなり楽になるだろう。まあ、それは正直、なんの根拠もないので、再現性があるかどうかは午後の探索次第だ。

 無駄になる可能性もあったが、午後の探索のために採取物についての資料を調べていく。メインは10層から25層のものだ。といっても、見た目と採取されやすい階層とエリアの確認だけだ。かなり量があるので、とりあえず、覚えやすそうなやつを頭の中に詰め込んでいく。多少は忘れてしまっても問題はない。とにかく数を詰め込もう。これら情報が、もしかしたら役に立つかもしれないのだから。




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