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二章82話 探索を終えて


 そうして十四層の輝く石を回収した後は十五層へと向かった。

 道中、何度か戦闘はあったものの、ホフナーが危なげなく魔獣を倒していった。そして十五層でも『感覚』により素材の回収に成功した。こちらの素材は三十層前後の素材が複数あり、戦果としては上々だった。

 まあ『カイアロス』の大群よりはインパクトに欠けるし、十四層で入手した謎の石のような眩しい感じも無かった。


 十五層の素材を回収したところで、夕方近くになってきたためホフナーに帰還を進言した。

 ホフナーは少し渋ったものの、『もう十分すぎる程の戦果を獲得した』『今回は初めての探索、つまり前哨戦に過ぎない』という説得が上手くいき、無事、撤収となった。


 転移結晶を使用し遺跡の一層へと戻る。転移の独特な感触は未だに慣れない。転移後少し頭を落ち着かせてから地上へと戻った。なお、一層に転移したので、『感覚』が発動したが、回収には行かなかった。ケチな俺としては行きたかったが、ホフナーを説得する上手い理由が思いつかなかったので諦めた。一応、一層に素材を放置するのはリスクはあるが……まあ、どうせ今日でリデッサス遺跡街からは高飛びするし、そこまで大きなリスクではないか。


「ん、まあ、まずまずの戦果だったかな。カイはミーフェのクランの正規メンバーってことでいいよ」


 地上部に出るとホフナーが、ニコニコしながら話しかけてきた。めっちゃ嬉しそうだな……凄い上機嫌な感じだ。なんか、普通に可愛く見えてしまい困る。個人的には、ホフナーはもっと傲慢でろくでもない人でいて欲しい。それじゃないと何だか俺がこれからすることが悪い事のように思えてしまう。


「ありがとうございます! 熟練のミーフェさんの技量を見た後だと凄く光栄です」


 これは本当の話。本当にホフナーの戦闘技量は凄まじかった。今まで俺は、ホフナーのことを舐めていたようだ。


「まあ、カイも上手く道案内できてたよ。とりあえず一応は副首領ってことにしたあげるから、しっかりミーフェに感謝するんだよ」


「ありがとうございます!」


 今日で抜けるから副首領も何も無いけど……


「ん、それで、本当にミーフェだけでギルドに行くの?」


 事前に遺跡内でホフナーには遺跡での成果物を一人でギルドに持ち込むように指示している。俺は今はそんなに注目されたくない。そしてホフナーには多くの注目を浴びて欲しいので、頑張っていただきたい。

 まあ、ホフナーはどちらかと言えば注目されたいタイプなので、彼女としても悪くないだろう。一応、素材が取れた階層は適当に誤魔化すように指示しておいた。こちらは上手くいかなくても、その結果による影響が出るころには俺はリデッサス遺跡街からいなくなっているので、そこまで問題はないと思うけど。一応だ。


「はい。その、自分では力不足だと思いますし、それに自分の技量だとミーフェさんの横に並ぶにはまだまだで……ミーフェさんの下につきたい人は沢山いると思います。それなのに自分のような者がいたら、嫉妬されてしまうかもしれませんし、それに『あいつがいいなら自分も』と多くの者が軽率にミーフェさんの下に来てクラン入りを懇願するでしょう。しかし、その多くは有象無象。実力の無い者が、ミーフェさんを煩わせてしまうと思うと……」


 できるだけ申し訳なさそうな声を出す。


「雑魚が来たら追い払うから別にいいよ。カイが、リーダーであるミーフェのことを、ちゃんと考えてるみたいだから許すけど、あんまりビビってるとミーフェまで舐められから、もっと頑張りなよ」


 そう言って、ホフナーは大量の成果物とともにギルドへと向かった。荷物が多すぎて、彼女の両脇と両手は埋まり、バックパックは破裂しそうなほど膨らんでいる。何だか少し申し訳ない。


「はい。頑張ります。ギルドの方、よろしくお願いいたします……!」


 ホフナーの背中に向かって声をかけ、しっかりと頭を下げておく。振り返った時対策だ。しばらく頭を下げたまま待機し、流石にもう離れただろうというタイミングで頭を上げる。うん。いない。無事ギルドに行ったようだ。上手くやって欲しいものだ。



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