呪われ戦士は国を救う 6
「だいぶ呪いの気配が強くなってきたな……」
「わかるんですか? 女戦士さん!」
「いやうそ、なんとなく、でもまあそうでしょ!」
ここにきてもお気楽な女戦士の態度に、王子は呆れ半分、感心半分抱いていた。
ふたりの行く先に一人の甲冑を来た騎士が現れた。顔は見えないが、その甲冑は呪いに魅入られた紋様が刻まれていた。
「王子様お下がりしなさいな。こいつはやべぇ」
「女戦士さん!」
呪われた甲冑の騎士はその重量感からは想像がつかないスピードでこちらに向かってきて、王子に向かって剣で斬り掛かる。間一髪女戦士が斧の柄で防ぐが、その力の押し合いも拮抗している。
「がぁぁぁ! 腕いってえし、斧重いし、あんたの斬撃もやばいけど!」
女戦士は行き良いよく甲冑の騎士を蹴り飛ばし距離をとる。
「こちとら生活の為に体張っとんじゃ! 負けるかよ!」
「……」
甲冑の騎士は無言でまた女戦士に襲いかかる。呪われた剣と斧がぶつかり合い、弾き合い、火花を散らす。
「このままでは……僕も……何か!」
今は甲冑の騎士は女戦士にしか関心を向けていないと王子は気づく。ならばと王子は。鍔迫り合いをしている二人。その甲冑の、騎士の後ろから羽交い締めにし動きを抑えようとする。
「今です! 女戦士さん!」
「へっ! むっつり王子様なかなか勇気あるじゃねえか!」
女戦士は一度鍔迫り合いから相手の武器を弾き、大きく斧を振りかぶり甲冑の頭から胴まで斬撃を繰り出す。
「や、やった! 」
「ナイスだぜ王子様!」
倒れた騎士の兜が外れ落ちる。その顔に一瞬、女戦士は体を固まらせる。その様子を心配した王子は声をかける。
「どうかしました?」
「いや、大丈夫。ただこいつが私の母親だったってだけ」
「え……?」
「もうとっくに縁は切ってたがな、国の為になら汚い事でも忠義を尽くして従うって感じのやつで、私はそんなの嫌だからガキの頃そうそうに家出したんだよ」
女戦士はすこし遠くを見るよう、物思いにふけっていた。
「……すみません。僕の依頼のせいで……」
「いや、もう呪いの実験で本人の意思もなかった。殺さなきゃずっと呪いの言いなりだったさ」
「でも……」
「でもやっぱ、殺しは……したくねえな。だから」
「はい……!」
「国王のやろうで最後の生殺与奪にしてやるさ!」