【純文学】親友は異教徒
「ねえ、カリくん」
僕は教室の机に正しく座っている彼に話しかけた。
「カリくんて、ケジメのほんとうの兄弟知ってるね? ……ってことは、そうだよね!?」
ノートと教科書を綺麗に並べながら、カリくんは不思議そうに僕の顔を見た。
「そうだけど、何?」
「うん。毎日寒いね」
不自然に話題を変えてしまった。
怪しまれたかもしれない。
ケジメのほんとうの兄弟が誰か、知ってる者はまずいない。
だってそいつは異教徒だから。
それを知ってる者も異教徒ということになる。
つまりカリくんは異教徒だ。
ぼくだけがそれを知っている。
だってぼくはカリくんの親友だから!
親友だから、互いに苦しい時は支え合ってきた。
お互いの夢を語り、励まし合ってきた。
ぼくの夢は億万長者になること、カリくんの夢は立派なカリになることだと言った。
カリくんの親友でよかった!
踊れ騒げよぼくの友達のカブトムシども!
ぼくも浮かれてお酒を飲んだ。高校生なのに。
だってこれが喜ばずにいられるかい?
カリくんを売れば、ぼくは多額の報酬金をゲットできるんだ!
億万長者には程遠いけど、それを資金にして必ず一歩を踏み出してやる!
ありがとう、カリくん。
ありがとう、異教徒。