【なろラジ失敗作】おふだを貼ろう、自分を守ろう
何もかも諦めたわたしに、彼は眩しすぎた。
きっと掴めるものと信じて、上を見て、夢のようなあの太陽を、まっすぐに見つめる彼の手は拳をつくり、いつかそれを開いて、掴んだあかるい夢の欠片を、わたしにもくれようとしているように見えた。
何もかも諦めているわたしに、彼は眩しすぎる。
わたしはお金さえ貰えたら、他には何もいらない。
借金で身動きができない。
明日にもあの深いドブ川へ飛び込まなければいけないかもしれない。
借金を減らすため、それだけのために、お金が欲しいのだ。
それでもわたしの手は未練がましく、お金が夢に変わることを期待していたりする。
なんてみっともない乞食!
なんて醜いばけもの!
暗い暗い部屋に閉じ籠もって
おふだを貼ろう、自分を守ろう。
誰もこの部屋に入ってこれないように
幽霊さえこの部屋にいるわたしには会えないように。
魔も封じ、人も封じ、生命すら封じたいと願う。
パソコンの明かりをつけて
そこからだけ世間を見ていよう。
もしも誰か訪ねてきたら
おふだの文字を見て安心することでしょう。
『元気だよ』って書いたから
きっと中にいる人は
希望に満ち溢れた笑顔をしていると思って
安心してくれる。
かまわなくてもいいんだと思い込んでくれる。
それで帰っていってくれればそれでいい。
彼も拳をあげて帰ってくれることだろう。
帰らないで!
扉を急いで開けて
彼を追いかけようとするわたしを
おふだが守ってくれていた。
な〜んちゃって
わたしは元気だよ(^o^)