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【青春ドラマ】ひゅんひゅん丸くん【のちミステリー】
あたしの隣の席のひゅんひゅん丸たもつくんは変わっている。もちろん名前が変わっているのだ。
「ねぇ、ひゅんひゅん丸くん。あなたはどうしてひゅんひゅん丸なの?」
「えっ? それはロミオとジュリエット的な意味で?」
なんかロマンスを期待されてるような気がしたので、あたしはそこを明確にするため、言ってあげた。
「単に名前が珍しすぎるから聞いてるだけだよ。あなた自身に興味はまったくない」
するとひゅんひゅん丸くんは、あからさまにしょげ返って、席を立つと、教室のドアを開けて、そこにロープを吊るし、輪っかを作った。
「ああ!」
あたしはそれを見て、理解した。
「投げ縄ね? 先を丸くした縄をひゅんひゅん投げるからひゅんひゅん丸?」
そして事件は起こった。