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【推理小説】脅迫状
「脅迫状が届きました!」
古川刑事が言った。
「警察署にか!?」
カマさんが聞いた。
「誰宛だ?」
「それを今から推理するんです」
「宛名はないのか?」
「ないです」
「差出人は?」
「住所電話番号から名前までビッシリ書いてあります」
「誰宛かだけ、わからないのか……」
カマさんは口に拳をあて、困ったように、指で作ったトンネルから「ぷー」と、可愛い声を出した。
とりあえず開封して読んでみることにした。
何も書いてなかった。
封筒を見ると、確かに『脅迫状』と、おどろおどろしい文字で書いてあるのだが……。
「これは……」
古川刑事が声を出した。
「ああ……、間違いない」
カマさんには一瞬で謎が解けた。
「イタズラだ」
差出人の名前は『福原 正義』だった。
奥の席で偉そうに座っていた福原刑事部長がぷっと笑った。