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【妄想恋愛】カノジョは俺の同級生であり先生であり片想いの相手であり、そして……
「にゃん」
そうかわいく言いながらカノジョはいつも俺の前に現れる。
神社の石段の途中に、クソ長い上り坂をノロノロ走る俺の自転車の前に、夕焼けに染まった公園のベンチに。
「元気出せ、智蔵」
茶色く透き通った長い髪を揺らして、俺に微笑みかける。
カノジョは俺の同級生であり先生であり片想いの相手であり、そして俺の創造物だ。
俺の都合のいいことだけ言ってくれ、俺の目に心地いいとこだけ見せてくれる。
カノジョが俺の中から消えた時、俺のほんとうの恋愛は始まるのだ。
それはきっと苦しいものであるに違いない。
『執筆中小説』残りあと2つ!(๑•̀ㅂ•́)و✧