★【評論】ジェフ・ベック『スキヤッキー・ブレイン』を聴いた
私の名はこほうぎオブロン。音楽評論家としてデビューしたばかりの42歳オッサンである。
さて、これが私の初仕事となるのだが、ジェフ・ベックの1975年のアルバム『ブロウ・バイ・ブロウ』に収録の名曲『スキヤッキー・ブレイン』のレビューをしてみたいと思う。
私はロックだ。私の生き様じたいがロックなのである。ならば、ロックの名曲と呼ばれるものは聴いておかねばなるまい。そうだろぉ?
ちなみに私がこの曲を聴くのは初めてである。では、行ってみよう。
☆ ☆ ☆
カチッとコンロの火をつけるような音とともにドラムのイントロが始まる。これから美味しいスキヤキが作り始められるのだという興奮を掻き立ててくれるようなイントロがじつに素晴らしい。
そこにジェフのギターが絡んでくる。牛肉が投入され、砂糖をまぶされたことがよくわかる。目に浮かぶ。じつに飴色をした導入部分である。
ブリッジを挟み、ワリシタが注がれ、本格的なスキヤキが始まる。ジェフのギターは明らかに糸こんにゃくを現している。びよーん、びよーんとよく伸びる。いいね!
ストリングスがもうもうと上がる香ばしい湯気を表現し、エレクトリック・ピアノがぐつぐつと沸き立つ泡をイメージさせる。豆腐もいい具合に煮え始めたようだ。うまそうだぁ(๑•̀ㅂ•́)و✧
やがてストリングスが前面に出てくる。食べ始められたのだ! 家族たちに! 肉が、豆腐が、糸こんにゃくが、ネギが! 無心で口に運ぶ両親と子供たちの表情が湯気の向こうに見えるようだ。ここでジェフのギターにエフェクターのワウがかけられ、「ワウッ! ワウッ!」と後ろでアグレッシヴに演奏されるが、これはもちろん家族みんなの口の動きと咀嚼音を表している。
やがて曲が中断する。それとともにジェフのギターが「うまかった! うまかった!」と声を上げまくる。
そして、終わったかと思われた曲は、ジェフの音頭に乗って、再び始まる。
一度終わったかと思わせて、また始まる……これは……
雑炊か?
いや、違う。
うどんだ!!
この、びよびよ〜んとした音と音との絡まりは、手打ちうどんが投入されたにちがいない!
しかし再開したかと思わせ、すぐに曲は終わる。さすがにみんなお腹がいっぱいだったようだ。
ふう……。私もなんだか聴いていてお腹がいっぱいになった。音楽で腹を満たしてくれるとは、やはりジェフ・ベックは天才と言われるだけのことがある。
脳内がスキヤキで満たされるような素晴らしい音楽世界を体験できた。天才の音楽を正しく理解できる者もまた天才だと言わざるを得ないだろう。音楽で満腹になってしまえる自分の天才っぷりを怖いとまで感じた。
……。
え? 『スキヤッキー・ブレイン』じゃない? は? 『スキャッター・ブレイン』? 何それ……。それが正しいタイトルなの? どういう意味? 何が好きヤッター……? 豆腐?
この曲構成でスキヤキ関係ないなんてことはないでしょう……(^o^)。坂本九の『上を向いて歩こう』の英語タイトル『スキヤキ』だったんでしょう? だからジェフ・ベックもそれにあやかって……。って、え? 違うの?
え? 9/8拍子なの、この曲? ちっとも気づいてなかったけど……。え? 触れるならそこ外せないって? ごめん、よくわからん!
や、やめろ! 俺の評論は完璧だったんだ! 批判するな!
スキヤキだ! この曲はスキヤキを表現しているんだ! 俺を……俺を俺を俺を! 否定するなあ〜〜〜!!!