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【ホラー】黒い洗濯物
俺は一人暮らしの35歳、童貞だ。ちなみに魔法はまだ使えない。
自炊し、洗濯も自分でする。
ある日の夕方、俺は今朝干した洗濯物を取り込もうとベランダの窓を開け、慄然した。
俺の部屋はアパートの一階だ。
夕焼けが辺りを赤く染めていた。
赤い太陽に照らされた、物干し竿の洗濯物が、すべて真っ黒だった。
パンツも、シャツも、上着もズボンも──まるで焦げて炭になったように黒い衣服が、弱々しい風にユラユラと、揺れていたのだ。
ふぅ……と息を吐くと、俺は呟いた。
「なぜ俺は……黒い衣料品ばかり買ってしまうのだろう」