★【冬ホラー3失敗作】 冬の川
冬の川は寒々しく、流れもゆっくりとしていた。
町と町とを区切る、幅100メートルほどのこの川で、私の息子は水死体となって発見された。
川の水はさぞかし冷たかったことでしょう。
あなたはどれほど苦しんだことでしょう。
犯人を同じ目に遭わせてやる──
自力で犯人を見つけ出した私は、そいつを川辺に追い詰めた。
汚い作業着のオッサン。
私を嫌らしい目で見て笑う。
そして私は手に持っていたバールを振り上げ、それを奪われ、叢に倒され、服を剥ぎ取られ──
「こんな寒い日に、こんなオバハン相手に色っぽい気分になれへんわ」
そんな言葉を浴びせられ、頭を何度か殴打されると、冬の川に投げ捨てられた。
あっ……。
暖かい!
意外に冬の川は、入ってみると暖かかった。
これならあの子もそれほどまでには苦しまなかったかもしれない。
むしろぬるい温泉に浸かってるみたいで、気持ちよかったかもしれない。
そう思うと、復讐の決意もだんだんと薄れていき──
水の底からあの子が上ってきた。
「ママ……、ママ……」
いい子ね。
一緒に地縛霊になりましょう。
あの汚いオッサンは許せないけど──
こんな気持ちいいところに引きずり込んでやってたまるもんですか。
同じ目になんて遭わせてたまるもんですか。