★正義執行マン
踏切の遮断器が俺の前で下りた。
もちろん俺は待つ。
なんとか俺までは線路を越えられないことはなかったが、警報が鳴り始めたので俺は待つ。当たり前だ。
待っていると、なかなか電車がやって来ないので、対向車線に行列が出来始めた。
その後ろから右ウィンカーを出しながら大型トラックがやって来る。
踏切の手前右側に工場があり、どうやらそこへ入りたいようだ。
トラックが反対車線を逆走し始めた。
脇道などもなく、踏切が閉まっているので、ズルして行けると思ったのだろう。
そこへ電車がやって来た。
通過した。
一両編成のとっても短い電車だった。
すぐに遮断器が、間いた。
俺はすぐさまアクセルを踏み込み、スタートした。
大型トラックが右側の工場に入ろうとしているところだったが、逆走状態のうちにギリギリかち合った。
俺は思い切りクラクションを鳴らしてやった。
後でその工場に苦情の電話を入れた。
ドラレコ動画をSNSに晒した。
すべては正義執行のためだ。
後に俺が投稿したSNSのコメントで、俺が動画を晒したことでそのドライバーがクビになったことを知った。
それだけじゃなく、その会社はそこの工場の仕事を切られ、みんなから責められたそのドライバーは一家心中したそうだ。ざまぁ!
あの時、俺が少しでもスタートをゆっくりしていれば、トラックとかち合うこともなく、何事もなく交通は流れていたことだろう。
しかし、俺は優先側だった。相手はルール違反の逆走だった。
俺は正義を執行しただけだ。
ルールを守らないやつは死ねばいいのだ!
ほぼ実話です