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【童話】 アリとアリギリス

 あるところにアリさんがいました。

 アリさんは毎日スマホゲームばかりして遊び、ラーメン屋さんに行ったら店員さんに『無料で大盛りにしてください』とか、無理な注文ばかりしていました。


 アリさんはよくお礼をいいます。

 気軽な感じでとにかく「あり〜」といいます。

 自分がすれ違うひととぶつかっておいて、「すみません」のかわりに「あり〜」といいました。


 ある日、いつものようにスマホゲームをしながら街を歩いていると、前からやってきたアリギリスさんにぶつかりました。


 手をあげて、「あり〜」とお礼をするアリさんに、アリギリスさんはその胸ぐらをつかみました。


「ざけてんのか、てめぇ」

 アリギリスさんは、腕のいれずみを見せつけながら、アリさんを睨みつけます。

「人にぶつかっといて『すみません』もなしかい」


「だから『あり〜』っていったじゃないですか」

 アリさんはちっちゃな体をさらにちっちゃくしながら涙目でおびえます。


「謝る時はなぁ……、『義理と人情に基づいて、心から謝罪いたします』っていうんだよ」


「そうなんですか」


「わかったらこれからそうしろ」


「はい」


 こうしてアリさんとアリギリスさんは、なにごともなく別れ、そのあとはもう会うこともありませんでした。

 それでもアリさんはこの時のことを、わすれずに、それからはひとにぶつかっ田時には「義理と人情に基づいて、心から謝罪いたします」というようになりました。


 ところで二人はどちらも人間です。


 ふつうの人間でした。




何がいいたいの?!

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