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【菊池祭り】 菊池の中の菊池
俺は菊池の中の菊池だ。胸を張ってそういえる。その根拠は、ない。
菊池ならばこうあるべしということはあるように思う。俺はそのすべてを満たしている。具体的にはうまくいえないのだが……。
菊池になりたいやつは俺を見習えと思う。同時に俺みたいにはなるなよとも思う。結局のところ何がいいたいのかはよくわからない。
菊池とは何かを俺はよく知っている。俺ほど菊池をよくわかっている人間は他にいない。ゆえに、君にはいってもわかってもらえないだろう。だからいわないだけだ。通じない言葉は外国語よりも意味不明なだけだ。
結局、俺のいいたいことは、俺にしかわからない。じつのところ自分でもよくわかってない。しかし、わかるか? それが菊池だ。菊池とはそういうものなのだ。
菊池の中に、菊池はあり、俺の外にも菊池はある。裏から見るか、表から見るか──ただそれだけの話なのだ。
ゆえに、俺は、菊池の中の菊池なのだ。胸を張ってそういえる。