チンコ
「なあ、チンコ。おまえはどうしてそんなに小さいんだい?」
綺麗なお化粧で顔を固めたお姉さん。どうぶつの毛皮を無駄に消費するような。その奥には鬼の顔。だけどぼくには優しい顔。それがぼくを傷つけたひとのまとめ。文章って難しい。何を書いて、どこを省いたらわかりやすくなるのか、ぼくにはわからない。だからまとめる必要がある。
ぼくはお姉さんのいった通り。チンコ。そんなちっぽけな存在。親指ぐらい? それとも同じ太さで人差し指ぐらいはあるのかな? ぼくは滅多に鏡に映らない。映してもらえない。だから自分の姿をよく知らないんだ。
お姉さんはぼくにむかって手を伸ばすと、ぎゅっと掴んできた。苦しいのはぼくのお父さん。ぼくはちっとも苦しくはない。でも、それでぼくはちょっと元気をだして、背伸びした。グンと、ちょーんと、お空にむかって背伸びした。
そうしたらお父さんの根本から抜けて、自由になってた。青いお空が上にある。今まではずっと薄い布の外の、さらに分厚い布の外にあったのに。ぼくは自由になって、駆け出した。緑色の絨毯を駆ける。
「あっ、待ちな! チンコ!」
お姉さんがぼくを呼び止める。
「外に出るならこれを着てお行き!」
お姉さんがかわいい服を着せてくれた。羊の毛で編んだ、モコモコでピンク色したセーターを、頭からずっぽりとかぶせ、ぼくの根本まで、ぜんぶに着せてくれた。
優しい。お姉さん、口は悪いけど、いざとなったら優しい。ぼくは逃げるわけじゃない。ただお外へ遊びに行きたいだけ。
「暗くなるまでには帰ってくるんだよ!」
大丈夫。ぼくはまだ小さいから、ひとりであんまりお外にはいられない。
行ってきます。ちょっとお外を冒険してくるだけ。お姉さんのことを正しく『お母さん』って呼べるようになるまで。
私は何が書きたかったのでしょう……m(_ _;)m




