【小説家になりお】ファン
「ブリ先生、今回の作品も素晴らしかったです!」
感想欄で、そのひとがまた私を褒めてきた。
「私、ブリ先生が『小説家になりお』の中で一番好きな作家さんです! ずっと応援してますからね!」
いつものこととはいえ、私は顔がニヤけてしまう。
そのひと──なめたけしるこさんは、私のファンだった。
一年以上前から私の小説に感想をくださるようになり、数ヶ月前にこんな宣言をしてくださった。
「私、ブリ先生の大ファンです!」
私の本名は平凡な名前で、ブリストル朱文金というのはもちろんペンネームだ。
彼女は──なめたけしるこさんは、本当の私を知らない。顔も、年齢も、仕事場でどれだけダメ社員呼ばわりされているかも。
それでも自分の書いた作品を褒めてもらい、ブリストル朱文金という作家のファンだといってもらえることは、もちろん我がことのように嬉しい。
正直私は執筆用にキャラを作り、リアルな自分とはまったく違ったことば遣いで小説を書いていた。だからブリストル朱文金=私だとは思っていない。
しかしブリストル朱文金というペンネームの素人小説家は私の作品であり、彼女が書いた作品は私の作中作品という感じで、なんだっけ。続かなくなった。
そのうち完成させる。完成させるぞ!