【バカ小説】内藤さんと内藤くん
「内藤さん」
「どうした、内藤くん?」
「ぼくら、ややっこしいッスよね?」
「何がだ? 名前の話か?」
「そうッス」
「ばかだな。漢字は同じでも読みが違うだろう」
「ルビを取ったらどっちがどっちかわからないッスよ、内藤さん」
「大丈夫だ。俺には語尾に『〜ッス』をつける習慣はない」
「じゃあ語尾に『〜ッス』をつけるのやめるッス」
「それに俺とお前には決定的な違いがある。俺は内藤『さん』で、お前は内藤『くん』だ」
「ちょっといいかね、内藤くん」
「あっ、社長。なんでしょう」
「私から見たら君も内藤くんだぞ。それを忘れるな」
「あっ、はい。わかりました。肝に銘じるッス」
「君はどっちだ? 内藤か、内藤か?」
「ルビをつけてくださいよ。さっぱりわからないじゃないか」
「ッス」
「だからお前は誰だよ?」
「内藤ッス」
「俺も内藤ッスよ?」
「ねぇ、内藤さんってどっち?」
「あっ! 可愛いことで有名な総務課の内藤さんが来たッス!」
「内藤さんって、お金持ってるって聞いたけど、お金持ちの内藤さんはどっち?」
「俺ッス」
「俺ッス」
「俺もッス」
「ええと……三人目はナイスガイの内藤さん?」
「ナイッス」
「ウイッス」
「オイッス」