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【コメディー??】にょっぺりんぐウルフ、見〜つけた!
あなたはまるで
にょっぺりんぐウルフみたいだよね
私は彼女にそう言ってあげた
最大の賛辞のつもりだった
にょっぺりんぐウルフみたいに
しっぽがもふもふかっこよくて
ピンと立った耳が凛々しくて
お買い物に行けばみんなが振り返る
珍しいいきもの
そんなにょっぺりんぐウルフみたいだよねって
彼氏にフラレて
がっくり肩を落として
自己嫌悪に陥ってる彼女に元気を出してほしくて
そう言ったのに
私のことばは彼女を怒らせた。
「そんなほんとうのこと言わないで!」
あっ、彼女、怒ってるふりして……
喜んでるな? 素直じゃないんだから、も〜……
そう思って、私は彼女を褒め続けた
「にょっぺりんぐウルフみたい! にょっぺりんぐウルフみたい! にょっぺりんぐウルフみたい!」
「ウゥ……」
彼女の目が黄色く光った
口はほっぺたまで裂けて、黄ばんだ牙がガオッと覗く
彼女は本物だったのだ
私は喉を一噛みされた
彼女は本物のにょっぺりんぐウルフだったのだ
喉仏がぴゅーぴゅー音を立てるのを聞きながら
私は思ったのだった
『ところでにょっぺりんぐウルフって何?』