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原付徘徊おじ☆彡  作者: 仲良しおじさん
原付徘徊の章
7/46

角田浜ソロキャンプ

2021年9月



 真夏の猛暑も過ぎ去り、少し冷たい風が吹き始めるようになりました。

 過ごしやすい季節ですね。

 ソロキャン行きました!


挿絵(By みてみん)


↑新潟県の低地は稲狩りシーズン真っ只中!

 黄色い穂並みの先に薄っすら見える山が弥彦山。

 それを越えた向こう側はすぐ海です。




【キャンプ場が軒並み閉鎖】


 とある日曜の朝のことでした。

 翌日の月曜日が休暇だったんですが、

「じゃあ今夜から明日に被せてキャンプ行けるな」

「週末じゃないから空いてるだろうしな」

 って思いついたのです。


 さっそくどのキャンプ場に行こうかなとググってみたんですけど、なんと、コロナの影響でどこも臨時休業中なんですね!(驚&泣)

 大変なご時世やで!


 そんな中で『角田浜(かくだはま)キャンプ場』のホームページには休業の表示は無し。

 念のため電話で管理人の方に問い合わせてみましたが、開業中でした。


 軽い気持ちで、

「ちなみに前日は何組くらい利用されたんですか?」

 と聞いたら、20組との返事。

 キャンプ地の面積に対して多すぎる! 密です!

 休業措置のせいでむしろ開いてるキャンプ地に密集してんじゃないのか?


 そんなこんなで、激込みを覚悟で憂鬱になりながらも訪れた角田浜。

 海水浴場とキャンプ地が一体化しており、付近の岬には海原に映える真っ白な灯台もありました。

 付近に土産物屋などはないものの、景色を眺めるちょっとしたスポットの体を成しております。


 キャンプサイトは防風林の松が疎らに生えており、徒歩1秒で日本海が望めます。

 すぐ脇は国道ですが、そもそも交通量が少ないので騒音は気になりませんでした。


 そして現地入りして嬉しいことが。

 やっぱり平日を跨ぐ日程ということもあり、昨日と打って変わって利用客は僕ひとりだけでした。

 貸し切り状態!




【日没までを過ごす】


 テントを張った後にすぐそこの浜辺を歩きました。

 海、いいっすねえ、海。


 僕は神奈川県出身で、サザンオールスターズとかで言わずと知れた湘南が地元です。

 別にサーファーとかではないんですが、それなりに海とは近しい距離で育ちました。

 だからなんかもう、松林とか見るだけで「海が近いな」って自然と懐かしい気持ちになります。


 でもそこでちょっとした違和感に気付いたんです。

「全然潮臭くないな」ってことですね。


 その日がたまたまだったのかもしれないですけど、たしかに海風は吹いてくるし、髪を触ると特有のベタつきはあるんです。潮風特有の。

 でも香りが全然しない。

 日本海と太平洋ってなんかそういう違いとかあるのでしょうか?


 などとささやかな疑問を抱きつつ、浜辺に落ちてた流木を鬼のように拾い集めました。

薪の足しにします。


 薪拾いがひと段落したら夕飯や不足品の買い出しに集落へと原付を走らせました。

 弥彦山を迂回して越え、弥彦村のホームセンターとスーパーへ。

 それを終えると再度キャンプ地へとんぼ返り。

 いろいろ準備を済ませたくらいが日没間際のちょうどいい時間帯だったので、先述の灯台に登って海を一望してきました。


挿絵(By みてみん)


↑絶景かな……。

 地理的には目の前に佐渡島があるはずですが、もやってて良く見えず。




【海! 山! 交通規制!】


 このキャンプ地はすぐ目と鼻の先が海水浴場ですが、背後を振り返ると弥彦山があります。

 ちなみにいま調べたら標高は600m強だそうです(スカイツリーと同じだって)。

 あんまり高くない方だと思いますが、周辺が低い海岸や水田地帯なのでそびえ立つような印象を受けますね。


 実はこの日、どうしてもやりたいことがありました。

 それは夜が更けてから弥彦山に登るということ!

 ただし、ひとつ難題があります。

 なんと山頂に続くなんちゃらスカイラインという公道は二輪車が終日通行禁止なんです。


 片側一車線で追い越し不可の細い道がクネクネと続くスカイライン。

 二輪車の通行は事故リスクが高く、自分のみならず他の車にも大きな危険を与えることになります。

 無論、馬力の無い原付でノロノロ登ろうなどもってのほかです。



※ここからはフィクション


 登りました。

 侵入しました。

 山の上から見下ろす集落の夜景、めっっちゃキレイでした!

 あと濃霧も溜まってて非日常感にテンション上がりまくりました!

 ほぼ他に人いませんでしたが、途中すれ違った車にクラクション鳴らされました! ごめんなさい!

 本当に迷惑になるので良い子はマネしない方がいいなって思いました。


※フィクション終わり




【焚火と炙り飯】


 山から下りて、ついでに田んぼ道をグルリと回り、22時くらいにキャンプ地に戻りました。

 ここから夕飯です。


 火起こしはもう慣れたもんですね。

 ホームセンターで買った薪に加えて、拾った流木と松ぼっくりを燃料にしました。


 潮汐のタイミングも良かったのか、カラカラの浜辺で拾った流木は乾燥してて火がつきやすい。

 山で拾う木の枝だと土の湿り気でしっとりしちゃってるんですよね。

 流木はいいぞ! と思いました。

 あと安定の着火剤、松ぼっくり。


挿絵(By みてみん)


 今日はスーパーの総菜コーナーで焼き鳥を買いました。

 炙るとウマい!

 ネギまのネギが超ウマい!


 そして今回は変化球として、お菓子コーナーから「甘栗」も買ってみました。

 炙りと絶対相性良いでしょ! と自信満々だったのですが……。

 結論から言うと失敗でした。


 割りばしで掴んで火元に持っていくんですけど、どれだけ待っても全然温まらなかったです。

 栗の硬さが原因でしょうか。

 指がジリジリと熱されるのを我慢しつつ、悪戦苦闘でした。


 頑張って火に近づけるんですけど、近すぎると割りばしが着火してしまう。

 むしろ着火した割りばしで温めるか? という考えまで浮かびましたが、その前に指が限界でポロリと落としてしまいますね。


 そろそろ割りばしよりも使い勝手の良い道具を模索すべきでしょうか……。

 リーチの長い竹串とか。

 でもコスパや衛生面(割りばしは一回使うごとに火にくべます)で考えるとなかなか。


 余談ですが、僕はキャンプを始めたての頃にステンレスのコップを買いました。

 カッコ良いじゃないですか。

 キャンプって言ったらまず思い浮かべるのがステンレスコップで飲むコーヒーですよね!


 でも使うごとにすすいだり、虫が付かないようしまったりというのがメチャメチャ不便でした。

 紙コップには勝らない。紙コップは使用後にすぐ燃料にもできるし。

 ということで、今回はとうとう出番が一度も来ませんでした。

 心苦しいですが次回からは持って行かないと思います。さよならステンレスコップ。




【海辺を徘徊するボーイ】


 僕はあんまりお酒飲めないタイプです。

 いつも甘ったるいチューハイ(度数3%くらい)をちびちびと飲み、小一時間でひと缶空けるくらいのペースです。


 でもキャンプだし、今日は呑むゾ~! と思って、思い切ってアルコール度数7%のチューハイを買ってきました。

 それで、驚きなんですけど、飲みだして気が付いたら意識失ってたんですね。

 恐るべし7%……!


 深夜2時過ぎくらいでしょうか。

 四足歩行の何者かが近づいて来る音ですうっと目が覚めました。

 その動物はなんだったのかは不明でした。

 猫ちゃんとかだと思います(思いたい)。


 それでハッとして。

 せっかくキャンプ来たのに、貸し切り状態なのに、爆睡で終わるなんてもったいないじゃん! と思いまして。

 2缶目のチューハイを片手に松林を出て、夜の浜辺をフラフラとお散歩しました。


 月は沈んでたけど夜空は割と明るくて、水平線の境界を薄っすらと見ることができました。

 天候に恵まれましたね。

 波音をバックにお気に入りの曲を流しながら浜を歩いて、「エモいな……」などと雰囲気に酔いしれました。

 もちろん浜の段差や流木につまづいて何度か転びそうになりました。


 一時間くらい徘徊したんですが、酒が回って最後の方は千鳥足でしたね。




【思うこと……】


 新潟に移り住んで4年目でしょうか。

 でもあと数年したらまた他所の土地に引っ越そうと思っていて、そうしたらたぶん二度と新潟で暮らすことはないと思います。


 というのも、僕の理想のライフスタイルが

「死ぬまでに日本各地に移り住んで、たくさんの思い出を作って、最期に各々の地を巡礼して回る」

 ことだからです。


 新潟県ってすごく広いですけど、原付で行ける範囲では結構冒険し尽くしたと思っています。

 残りの数年でまた新たな開拓地を目指すも良し、これまでに訪れた場所を巡って記憶の結びつきを強めるも良し……。

 どちらにせよ、やり残したという思いを無くしてこの県を去りたいですよね!


 夜の海を見ながら考えふけったわけですよ。

 このキャンプ浜は全国有数の景勝地というわけじゃないけど、こうして僕と縁ができて、僕にとってとても思い出深い場所になったなあと。

 人生のラストに行うつもりの日本一周の旅では、またここに立ち寄ることになるのかなあと。


 つまりはそういうふうに思える場所を増やしていきたいってことなんですよ。

 人生の目標。

 自称、初心者を脱しつつあるソロキャンパー(笑)ですが、慣れに任せておざなりに過ごすのではなく、一度一度のキャンプの機会を噛み締めながら楽しんでいきたいなと改めて思いました。




~Happy End~



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