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原付徘徊おじ☆彡  作者: 仲良しおじさん
映画鑑賞の章
41/46

『グラスハウス』 怪しい養父母とクールな豪邸


2023年5月



 今回は2001年に公開されたホラー・サスペンス映画『グラスハウス』について語りたいと思います!

 たぶん知ってる人ほぼいないようなマイナー作品だと思います!




【あらすじ】


挿絵(By みてみん)

 グラスハウス(原題 The Glass House)2001年 引用:IMDb.com


 16歳の少女ルビーと11歳の弟レットは交通事故によって突然両親を失ってしまう。

 遺言に従って、2人はかつて隣人として交流のあったグラス夫妻の養子として引き取られることに。

 夫妻はビジネスで成功して現在は小高い丘の上に建つ豪邸に住んでおり、姉弟はそこに移り住んで何不自由ない新生活を始める。

 傷心しながらも裕福な暮らしに浮かれる幼い弟。

 一方姉ルビーは次第に夫婦の見せる不審な行動に懐疑心を抱き始める。




【近代ホラーハウス】


 日常生活の中、逃げ場のない環境で心理的に追い詰められていく恐怖を描く、といった系統のホラーになります。

 ゴア表現はまったくないので苦手な方も大丈夫。


 「頼れるおじさんおばさん」という好印象から始まったものの、徐々に怪しげな本性が浮き彫りになっていく件の夫妻。

 隠された秘密を探りつつ、妨害されつつ、表面上は繕いながらも水面下で心理戦をしつつ、みたいなジワジワとしたサスペンスを楽しめます。


 主役であるお姉ちゃんは不良とまではいかないけどほどほどにスレた性格をしていて、機転が利くし度胸もある。

 怖がりつつもしっかりした行動力を発揮してくれるので見てて心強いです。


 このお語の舞台は姉弟が越してきた豪邸の中が大半になります。

 タイトルにもなっている『グラスハウス』ですよね。

 これがやたらとガラス張りを多用した内装をしていて、前衛的なデザインというんでしょうか、

「よくわからん富豪が好んで建てる、クールで生活感ゼロなお家」ってあるじゃないですか。

 あんな感じです。


 この手の映画ではめちゃめちゃ見かけるんですけど、たぶん現実では一生お目に掛かることはないんだろうなって思います。


 ガラス張りのお家と言いましたが、このガラスが本作におけるホラー演出にものすごく効果を出してます。

 そこら中に窓が配置されてるので、夜のシーンでは外の明かりがうっすらと内部に差し込み、それがビジュアル的にほんのりした怖さを醸すんですよね。

 庭先にある屋外プールの静的な波紋が反射されたり、土砂降りの日は窓を伝う水の流れが投影されたり。

 そういう水と光が創り出す背景がグラスハウス中に広がっていて不気味さに拍車を掛けます。


 いいですよね!

 こういうの僕すごく好みです。




【堅実、故にパンチ不足】


 ありがちなB級ホラーって、とにかく主人公やその仲間がトンチンカンな行動しまくりませんか。

 誰でもそこ気付くやろ! って罠に易々とハマってみせたり、お決まりの死亡フラグを立てちゃったり。

 僕はそういう状況を『沼ってる』と呼んでます。


 シナリオの都合上、主人公たちがマヌケかますのも必然ってところはあると思うんですよ。

 でもそこで「あまりにも……」な行動が悪目立ちしちゃうと、観てる側としてはハラハラよりモヤモヤの方が勝っちゃってストレスなんですよね。


 沼があるのは致し方ない。

 ただその沼をどれだけ上手くカモフラージュして、さも自然にシナリオの都合に引き合わすように見せてくれるか、というのが良質なホラー映画のひとつの指標だと僕は思っています。


 それでいくと本作は良いですよ!

 主人公が良い感じに痒いところに手の届く働きを見せてくれて、どんどん好感度上がっていきます。

 的確に、ドジを踏まずに。それだけでホラーってこんなに見やすくなるんだなって思いました。


 ネタバレですが、ラストの攻防戦で敵側がわかりやすいトラップを張るんですよ。

 視聴者側も簡単に見抜けてしまって、はいはい、みたいな。

 他のホラーものなら100%やらかしてピンチに陥る流れなんですけど、本作では主人公がそれを当たり前のように逆手に取ってきますからね。

 この姉ちゃんやりおる。


 ただ、無理をしない分だけパンチに欠けるっていうのはやっぱりあります。


 わざわざ登場人物たちを沼らせる理由って、その先にダイナミックな展開を繋げられるからじゃないですか。

 整合性を犠牲にしてインパクトを取る、的な。

 僕はサスペンスに関してはばんばんインパクト放ってくより整合性を重視してもらいたい派なんですけど、好みが逆の方は本作に決定的な物足りなさを感じてしまうかもしれませんね。




【演者情報】


 主人公役の女優はリリー・ソビエスキーという方です。

 目力の強さとピシッとした薄い唇が整いすぎてて、もう美女。

 クールビューティ。

 本作はホラーですが泣いたり喚いたりといったやられヒロインではなく、怯えながらも恐怖に立ち向かうイケメンっぷりを見せてくれました。惚れる。


 他の出演作では彗星衝突による地球最後の日を描いたハートフルSF『ディープ・インパクト(1998)』で主人公の恋人役だったのが一番有名だと思います。

 でもいまいち知名度ないですよね。


 他にはクド顔俳優ニコラス・ケイジ主演の『ウィッカーマン(2006)』というサスペンスにもモブ役で出演していました。

 この作品好きな方いたら申し訳ないんですが、僕は鑑賞に費やした時間を返してくれと切に願ったレベルのクソ映画でした。

 ただ、この中でリリーが酒場の売り子として登場するんですが、その容姿がマジで天使。


挿絵(By みてみん)

 ウィッカーマン(原題 The Wicker Man)2006年 引用:IMDb.com


 この方あのですね、バストがかなり豊満なんですけど、ドイツふうな民族衣装がそのあたりを殊更に強調するデザインしていて、

 思わず二度見してしまったくらいあれですよ(照)。


 あのコスを見られただけでいくらか溜飲さがったわ、と思わせてくれるくらいナイスでした。ありがとう。




【本作との思い出】


 高校生くらいのときに地上波でやってたのを観たんだったと思います。

 本作は本格サスペンスと呼べるほどではない、手頃なB級ホラーテイストな出来で、言っちゃうと凡作の域は出ません。

 まだ映画を観慣れてない頃に出会ったのですごく楽しめたけど、目が肥えてしまった今に観たらあんまり印象に残らなかったんだろうなと思うし、たぶん皆さんも同じだと思います。


 万人にオススメできるような傑作じゃないけど思い出補正が相まって個人的に超好き、みたいな作品が僕にはやたらたくさんあるんですよ。

 やっぱりエッセイにしてまで語りたいのってそういうものなんですよね


 グラスハウスは2000年前後の作品ですが、これから10年後くらいになるとホラー・サスペンスジャンルを筆頭に低予算クソ映画戦国時代が到来します。

 これについてはまたどこかで熱く語りたいんですけど、要はCG使えるようになって素人でも映画業界への参入の敷居がぐっと下がったんですよね。

 低予算でも面白ければいいんです。

 でもやっぱり大半が、撮影技術のまともに伴ってない人たちが撮る学芸会まがいの映像で、どうしたもんか、というカオス期です。


 本作はその暗黒時代に至る少し前の、地味ながらも丁寧なつくりで楽しませてくれる作品です。

 この年代の素朴なホラー・サスペンスって妙な安定感があって僕はとても好きです。




~Happy End~




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