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原付徘徊おじ☆彡  作者: 仲良しおじさん
原付徘徊の章
3/46

四国88カ所巡り その2:お遍路スタート

2018年8月



 ついにお遍路スタート!

 8月の中旬すぎということもあり、カンカン照りの猛暑日でした。

 夏休み真っ只中って感じ。


 お遍路ルートについてです。

 すべてのお寺に1から順に番号が付いてるんですけど、その1番がまさに徳島市からなんですね。

 しかも初めの10番くらいまでは大きな県道に沿って点々と並んでいる。という親切設計で分かりやすい。




【ご作法いろいろ】



挿絵(By みてみん)


 さっそく一番目のお寺に到着しました。

 お寺の名前は難しくて読めませんでした。

 なんか良い感じに潤ってそうな寺で、敷地内に大きなお土産屋さんの建物とかもあるんですね。

 僕たちまずお遍路のルールを全然知らなかったので、そこの店員のおばさんに聞いてみました。


 御札を買って、それを各寺に設置されている“納め札箱”という箱に2枚ずつ入れていくそうです。

 御札はその土産物コーナーに100枚つづりで売ってました。買いました。



挿絵(By みてみん)


 いろんな色があるんですね。

 何回目のお遍路チャレンジかで色を変えるそうです。

 初挑戦なら白色で、2回目以降だと緑、さらに赤……とグレードアップして、何十回目とかの猛者はゴールド御札になるらしいですよ。


 マジか。何十回も回る人いるんだ……。

 それを色でマウント取り合う感じなんだ……。


 僕たちは新米プレイヤーなのでもちろん白色でした。


 御札には名前や住所なんかを書くスペースが設けられてて、ルールを教えてくれたおばさんの手前、書かないわけにはいかず。。

 とりあえずその場で十数枚分を一気に記入したんですけど、結局それ以降はイチイチ書くことはなかったですね。

 白紙のままの御札入れてました。

 それで効果あるのかな? (ないから今に至るのかな?)


 土産物屋を出て進むと、境内への入り口として立派な門が立っています。

 この門をくぐる前に一礼するのがマナーだそうです。

 そして境内に入り、箱を見つけて御札を入れ、なんか天井からぶら下がってる大繩みたいのを振って鐘を鳴らすという一連のあれがあります。


 1番地の礼拝を終え、2番地も順調にこなす。

 要領を得ました。

 そして早くも3番地くらいからグダり始めました。


「ゴミ(御札)をゴミ箱(納め札箱)に入れて回る壮大なゲーム」


 とか言って笑い合ってました。

 境内の中で。

 不謹慎すぎてしばかれても文句言えないですね。


 門をくぐるときの一礼も、無言でやるはずのところを「ナマステ~」とか「シェイシェイ」とか異国の定型文を呟きながらくぐっていました。

 それすらもすぐに飽きて一礼しないで普通にくぐるようになりました。


 でも思ったんですよ。

 こんなに汚れた心の僕たちでも88カ所を巡り終えるころにはちゃんと信仰心が芽生えて、体の隅々まで浄化されているんじゃないかって。

 そして当時の自分たちの愚行を恥ずかしく思い起こすに違いない。

 そうですよね。

 こんな苦行を耐えきってなおも煩悩だらけでいられるはずがないですよね。


 数週間後、一回りも二回りも大きく成長しているであろう自分たちの姿に人知れず想いを馳せました。




【老夫婦との出会い】


 始まって早々に、とある問題に直面しました。

 僕たちはその日朝一番からお遍路を始めたわけなんですが、時期的な問題もあってスケジュールだだ被りの巡礼者たちが大量にいたんですよね。


「アレ……。あの人さっきの寺にもいたぞ……」


 みたいなデジャヴが頻出したんです。


 なんとも言えない居心地の悪さを感じていました。

 それは僕がコミュ障だからです。

 僕は静かに警戒を始めました。

 なぜなら僕は“旅先での一期一会の思い出”みたいなのがとても苦手だからです。


 その被り巡礼者の中に一組の老夫婦がいました。

 車で回っているらしく、彼らとは午前中のあいだ各寺の滞在時間がほとんど一致してました。

 昼時に入ったうどん屋さんでも鉢合わせました。


 あの人たちは車だから、俺らがちょっと時間を潰して先に行かせよう、という話になって、どこかの寺の休憩所でアイス食べながら涼んでたんですけど、そしたらその休憩所にもいらっしゃいました。

 どれだけコンボ決まるんだよと思ったら噴き出さずにはいられませんでした。


 こんなに会うなら早い段階で挨拶でもしておけばよかったじゃん……。

 まあ結局一言も喋らず終わりましたけど。




【有料駐車場に愚痴る】


 10番地くらいの寺で唐突に駐車場(駐輪場)が有料になりました。

 100円だったんですが、思わず不満が零れました。


 というか不安になったんですね。

 この先まだ80カ所近くあるのに、全部100円ずつかかるのか?

 だとしたら8000円トんでしまうわけですから、これは予期せぬ一大事です。

 足元見過ぎでしょう。

 どんだけ駐車料金で儲ける気だよこの88カ所はと思いました。

 そんなコスい金儲けを神が望むのか? と。


 しかも90分100円の標記だったんですね。

 それがさらに怒りを誘いました。


「こんなとこに90分もいるわけねーだろ」

「ゴミ捨てるだけに90分も使うわけねーだろ」


 みたいな愚痴を吐きながらお参りしました。

※その後ほとんど有料駐車場はありませんでした。助かった。




【日照りがヤバイ】


 さすがに真夏なので日射がえげつないんですよ。

 駐車場に原付を停めて、お参りして10~15分後に戻ると、シートが熱すぎて座れないくらいになってるんです。


 もう仕方がないので、飲み終わって空になったペットボトルに水を汲んでかけてました。

ジュワッっていって湯気が昇るんですよ。シートから。

ヤバイ。


 で、その水はどこで汲むのかっていう話なんですけど、寺の境内の中に手洗い場みたいなスペースがあるじゃないですか。

 石造りで、脇に柄杓(ひしゃく)が置いてあるやつです。

 あそこから汲むんですよ。


 当時は深く考えずにやっていたんですけど、今ふと思うと、あそこの水って神聖なものだったりするんですか?

 境内の外に持ち出していいタイプの水だったのでしょうか。

 ジュウジュウ言わせながら蒸発させてしまいましたが。




【そしてお遍路一日目が終わる……】


 日が落ちた後も惰性で回り続け、この一日で20カ所くらいは回りました。

 キリよく徳島市周辺の寺を網羅したんです。

 ちょっと無理はしましたが。


 暗くなった後に立ち寄る寺って、ナチュラルに雰囲気抜群なんですよね。

 肝試ししてるのかな? って感覚になりました。

 普通に寺の隣が墓地だったりしますからね。


 23時くらいにネカフェにたどり着いて泥のように眠りました。

 長い長い一日でした。

 なんか、こういう旅って得てして初日が一番記憶に残ってたりするものなんですよね。




~つづく~



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― 新着の感想 ―
[良い点] リアリティーがあります。 出会いと書いてあるのに一言も喋ってないところが良い。 [一言] 旅を通して立派に成長する様子を描いた作品なんですね! とても楽しみですね。 私は、登山で同じペー…
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