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カウの島  作者: ツヨシ
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俺はネット依存症だ。

それは自分でもわかっている。

なにせ仕事をしているとき以外は、ほぼSNS、ユーチューブ、ツイッターその他を見ているか、書き込んでいるからだ。

それでも仕事以外ならまだ問題はなかったのだが、仕事中も上司の目を盗んで事務所にあるパソコンで、そして自分のスマホでネットの世界に入り浸っていた。

当然見つかり、とてつもなく怒られる。

それでもやめなかったため、やめられなかったため数回目でくびを言い渡されてしまった。

――さすがにこれはまいったな。

高校を出て就職し、ネット以外で贅沢をまるでしなかったので、この七年ほど貯めこんでそれなりの貯金はある。

おまけに一応会社理由で無職になったので、すぐに失業保険も出る。

それじゃあ朝からネットのし放題。

をやりたいのはやまやまだが、このままでは次の仕事が決まっても同じことをしでかすだろう。

さすがにそれはまずいと思った。

この俺も、そこまでバカではない。

ネット依存症をどうにかしないと。

本気で考えた。

そして調べた。

もちろんネットで。

ネット依存症を治す方法をネットで調べるのだ。

矛盾しているようだが、それがネットの便利なところ。

色々見て回って面白いものを見つけた。

ネット依存症を克服したいという方を募集中。

その方法は一定期間、ネットもテレビ放送もない離島で暮らしてもらうというやり方。

食べ物、飲み物、そして部屋は提供するとのこと。

衣類だけは下着も含めて自分で用意してもらいたいそうだ。

いやでもネットができない環境で暮らせば、そしてそれに慣れることができればネット依存症が克服できるというわけだ。

申し込みはハンドルネームだけでOK。

この一定期間というのがいつまでと明記されてないのは気になったが、部屋と食事を用意されるというのにこのツアーの参加料、なんと無料なのだそうだ。

――無料!

俺は少し怪しさを感じたが、ある団体がボランティアでやっているとのこと。

その団体名はカウだった。

カウ。

どういう意味なのだろうか。

買う、飼う。

俺は結構考えたが、結局参加者希望の欄に俺のハンドルネームを書き込んだ。

俺のハンドルネームはポンチだ。

意味は男性器を逆さに読んだものだ。


数日後にカウという団体から連絡があった。

定員がそろったので、三日後に出発します。

集合場所と時間が記入されていた。

港のすぐ近くだ。

離島というからにはそこから船で向かうのだろう。

集合時間が午後九時というのは、夜の間に島に向かうようだ。

寝ている間に目的地に着くのだ。

それはそれでいいかもしれない。

俺は返事を返した。

すると承認済み、お待ちしておりますとすぐに返ってきた。


当日午後九時に指定された場所に行くと、一台の大型車が俺の横に来た。

中から品のいい黒服の男が降りてきて「どうぞ」と後部座席のドアを開けた。

中はリムジンとまではいかないが、かなり広い。

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