月夜と揺れる
夜の空気を浴びながら、光の輪っかを見つめつつ、己の内に、たったひとつだけ確かな物があるのを確認して、息を吐く。
ベッドに沈む身体、投げ出された脚、邪魔な布団をどかした腕、その先の指にまで意識を行き渡らせながら、今度は胸いっぱいに夜闇を吸い込む。
まだ生きていた。
心の臓が、必死に呼び掛ける。
まだ、生きていた。
目を閉じ、その事実を噛みしめる。
頭の中がごちゃごちゃだ。闇の中から声が聞こえる。私を生かしたい声と、私を殺したい声。
もう、自分が生きていたいのか死んでしまいたいのか、わからない。今後、どうすればいいのかも。
私は、これからもこうして生きていくのだろうか? 生きなければならぬのだろうか?
目を開けて、光を胸いっぱいに抱きしめて立ち上がった。
カーテンが、私のように揺れ動く。
読んでいただき、ありがとうございました。