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逃げられ王子と追われる令嬢  作者: キョウ
第2章

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101:うるさい(レオンハルトsaid)

「ねぇ、だいぶぶっ壊れてるけど、大丈夫なんでしょうねえ?」

「……。多分……。あっ!殿下!生け捕り!生け捕りにしてくださーい!!生け捕りだっつの!殺すなって!!」

 後ろでリンとアランのそんな会話が聞こえてくるが、知ったことか。もちろん殺しはしない。自白出来る程度に生きていればいいだろう。


 目の前でアオイを連れて行かれた。

 俺の油断だと分かっている。

 マルクスが不審なことはわかっていたのに。

 それでなくても、気まずい状態だった。外出していたアオイが心配すぎて、つい強い言葉をかけてしまった。更には酔って帰れなかったことを謝ってもいない。

 夜に行くと、言ったのに……。


「お前、アオイが黒の蝶だとわかって拐おうとしていたな」

 足元にうつぶせで倒れている男の肩を足で蹴って上を向かせた。

「がはっ……、げっ……、っ……うぅ……、そう……だ……。まさか、蝶も、あんなに……魔法が、使える……とは」

 裏社会で流れている「黒の蝶」の噂は、「手に入れれば莫大な力を得る」だの「世界の覇者となる」だの、荒唐無稽なものも多い。しかも「蝶」自身のことについてはたいした情報はない。

「アダナンに連れて行くつもりだったのか?」

「……そう、だ。あの国では、今貴族の娘は高く売れる。……さらに魔力持ちは、貴重だ……。子供が魔力持ちになる可能性が高い、からな……」

 胸くそが悪くなる。

 長年の奴隷制度の影響か、アダナンでは女性の地位が低く、道具扱いされていると聞いたことがあったが、噂だけではなさそうだ。

 そんな所にアオイを連れて行かせるわけには行かない。

「セラトでの頭はお前なんだな?」

 魔法を詠唱無しで使いまくっていた所を見ると、組織の中でもかなり上の方だとは思うのだが、さっきから妙に従順で気持ち悪い。

「ああ、そうだ。だからさっさと捕まえて牢屋にぶちこむなり、処分するなり、してくれよ……」

「……このまま、お前を解放したら、どうなる?」

 ビクッと男が震えたことで、予想が確信に変わる。

「……噂じゃ、第三王子はボンクラだ、って聞いてたのによぅ……。お察しの通りだ」


 奴隷落ち……。


 他国で行われている制度で、これほど理解出来ないものはない。

 労働力のため、権威の誇示や収入のために人間を売買所有者し、人権を剥奪する。

「奴隷箍」という首に着ける魔道具は、従わない奴隷に罰を与えるクソ道具で、その責め苦は屈強な男性でも耐えられないもので、そのくせ死には至らない。自殺することも出来ず、一旦奴隷落ちすると、解放されることはないという。


「アンタが出てきた時点で、俺はもう終わりだったってことだな……。俺は、かなり魔法が使えると、自負していたんだが、ははっ……!上には上がいるもんだ……。最後にアンタに負けて、人生のクライマックスにちょうど良かったよ……」

 奴隷になるより、他国で牢屋に入った方がマシ、っていうほどなのは分かった。

 ゲホゲホと咳き込みながら、男は続けた。

「……ハメられたんだ……。黒は魔力がある。狙うなら黒だと。今にして思えば、仲間のふりをしていたんだな……。自分達で排除出来なかったから、俺らを使って……」

「それは、黒否定派のことか?お前らは自分達の仲間を認識してないのか」

 城でアオイを襲った奴らは、片方はダリアの依頼、片方は黒否定派だった……。

「俺らは仲間とは連携しない。その場で初めて会って、仕事をして別れる。だから、仲間の顔をいちいち覚えていない。コイツらもここで初めて会った」

 少し離れた所に倒れている男2人をチラリと見て言った。


「アラン、俺はアオイを追う。ここを任せる」

「わかりました」

 フラフラして、今にも倒れそうなダリアを抱えていたアランに言った。

 ダリアに目を向けたら、ビクッと肩が跳ねて、完全に怯えた状態で俺と目線を合わせないようにしている。

 さっきの、ぶっ壊れた俺を見て、怖じ気づいたことは明白。

「グラナダ公爵令嬢。家まで送らせる。悪い夢を見たと思って、忘れろ」

 ダリアはうつ向いたまま、何も言わなかった。


 タカユキがいない。アオイを追いかけたんだな。

 ふと動かした目線に、年若い男がいた。髪が黒い。

 さっき、アオイがとっさに助けた人物。こいつは誰だ?

「……あのっ、……アオイ……さま?を……、追いかける……んですよね?あの、俺、追跡の魔法が使えて、それで、アオイ様を見つけられると思い」


「うるさい」


 俺がアオイを追えないとでも?


 あの艶やかな黒髪を、

 黒曜石の瞳を、

 しなやかな指先を、

 俺に笑い、かける……、

 あの、柔らかな




 小さく光って消えていく、移動魔法の残滓がなくなると、目の前には俺が現れたのを当たり前の顔をして見ているアオイがいた。


「レオ、私、怒ってるんだからね」




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