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次の日も早く目を覚ます。パソコンの動画が相変わらず痛々しい。僕は目を背けながらそれを見た。この頃だったかなあ。クリスマスプレゼントにクマのぬいぐるみを貰ったのは。アニメのフィギアも貰った記憶があるが、それを貰った年齢の思い出がいまいち曖昧だ。
今日も神さまと挨拶のメールを交換した。神さまは『楽しく暮らしてくれていればそれでいいんだよ』とメールを返してくれた。
サンタイルさんがトナカイの散歩に行くとジョージおじさんがカレーのルーと食材を持って来てくれた。僕はジャガイモ以外の具材を切ってサンタイルさんを待つ。人参は皮剥き器があったので簡単に皮が剥けた。カレーは甘口の僕が日本にいるとき自分で作ったことがあるルーだった。
「おっ、ほとんど用意が出来ているみたいだね」
サンタイルさんが言う。
「はい、ジャガイモの皮を剥いてくれれば、後はまた僕が作ります」
サンタイルさんはするするとジャガイモの皮を剥く。僕はぐつぐつ野菜を煮込んで火が通ったらルーを入れた。
「いい匂いだねえ」
僕はボールに小麦粉を溶いて窯に入れる。ナンを作ろうと思った。
「窯の扱いは危ないよ」
サンタイルさんは言うが、今日は腕を振るってあげたい。僕は頑張って料理をした。カレーは上手く出来て、サンタイルさんがとても喜んだ。
毎日が問題なく進む。パソコンで動画を見る以外は楽しい日々だ。この幸せを失いたくないとしみじみ思う。サンタイルさんとクリスマスプレゼントの仕分けを主に生活をする。簡単なパソコンに使い方を教える。それはパソコンのことを全然分からないサンタイルさんに文章が作成できるよう練習をするだけだったがとても楽しかった。
アンジェリーナちゃんやキャロラインちゃんと他愛もない話をして、たまにジョリイとも遊ぶ。トナカイに餌をやりに行く。ジョージおじさんから食材を買ったり、たまに釣りに連れていて貰う。そんな毎日だが、充実していた。気が付くと明後日がクリスマスイブになっていた。サンタイルさんが髪を耳に掛けながら僕を見た。今日は結わえずにサラサラのロン毛が背中まで掛かっている。
「あのね、クリストフくんにはプレゼントを先に渡しちゃったけど、僕から個人的にプレゼントをあげてもいいかな?」
えっ、何だか悪いな。何だろう。




