表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の国(クリスマスランド)  作者: 内藤理恵
45/55

(45)

「クリストフくん、泣いてるの?」

 アンジェリーナちゃんが心配そうな顔をする。

「あっ、いや。埃が目に入ったんだよ」

 僕は照れたように頭を掻いた。

 キャロラインちゃんは夕方遅くなってやって来た。部活があったのだと教えてくれた。高校に部活があるのに、何故みんなサッカーを知らないんだろう。

「キャロラインちゃんは何部なの?」

「私はね、魔法でボールを投げる練習してるの」

「えっ、魔法?」

 そういえばサンタイルさんもアンジェリーナちゃんのお母さんも魔法が使えると言っていた。

「うん、でも高校生が魔法を使っていいのは夜中だけ。だから、呪文とか、薬草とか作ってるの」

「じゃあ、僕も覚えたら使えるのかな」

「さあ、今度、神に訊いてみてあげる。それともクリストフくんが訊く?」

 僕は肩を竦めて掌を上にあげて外人のようなポーズをする。神さまとはまだ会ったことがない。もし会えたら教えて貰いたいことがいっぱいある。特にパソコンで僕の小さい時の動画が見えるのは何故なのだろう。それに過去に飛ばされたのはどういう意味を持つのだろう。

「みんな、ここに居るのには訳があるのかな」

 僕はポツリと呟く。

「みんな訳があるんだよ」

 アンジェリーナちゃんが言う。

「僕がここに居るのは何で?」

「それは言えない」

「えっ、知ってるの?」

「何となくだけどね」

 アンジェリーナちゃんは意味ありげな顔をしてキャロラインちゃんを見た。僕もキャロラインちゃんを見ると眉毛を下げて困った顔をしていた。サンタイルさんが割って中に入る。

「さあ、さあ、子供たち、お喋りばかりしていると仕事が溜まってしまうよ」

 そうだ。本来の仕事を忘れたらいけない。

 夜はサンタイルさんがエビパンっていう物を作ってくれた。エビパンなんて初めて聞くので臆して口にちょっとづつはこんだが、エビの練り込んである、ピザっぽいパンでとても美味しかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ