(42)
「今日は何を買うんですか?」
「パスタの具材を頼んであるんだ。ボロネーゼは好きかい?」
おお!食べたい、食べたい。この島は不便そうだが食材は何でも揃うみたいだ。今度、カレーの具材を買ってサンタイルさんに作ってあげようか。包丁でジャガイモの皮は剥けないから、それだけはサンタイルさんにお願いしよう。
「ボロネーゼ、食べたいです。あの、この島はカレーのルーは売ってます?」
「ルーって何だい?」
やはり売ってないのか。
「カレーは知ってます?」
「うん、インドの料理だろう。大学で習ったよ」
「日本でも国民食なんですよ」
「それが食べたくなったの?」
「いえ、作ろうと思ったんです」
サンタイルさんは「そおかあ、クリストフくんが作ってくれるのかあ」と嬉しそうにする。
「ジャガイモの皮は剥けないから、それだけはお願いしちゃいますけど・・・」
「じゃあ、ジョージおじさんに欲しい材料を言えばいい。あの店は海外からものを仕入れることがあるから揃うと思うよ」
そうなんだ!今日、頼んでみよう。たまには僕も何かしないと罪悪感がしてしまう。
クリスマスプレゼントの仕分けを始める。これはブラジル、これは韓国、これはアルジェリア。日本のものもある。あっ、これは近所に住んでいる花香ちゃんのプレゼントだ。僕よりかなり歳上だから、たぶん花香ちゃんは小学5年生か6年生。それだけ大きくてもプレゼントを貰えるのかな。僕はサンタイルさんに訊く。
「クリスマスプレゼントって何歳まで貰えるんですか?」
「ああ、物であげるのは12歳までだ」
えっ、物って!?サンタイルさんはクスクス笑う。物以外、何で貰えるのだろう。