(40)
7時に起きて1階に行く。冷たい水で顔を洗って歯を磨く。外国にいるから麻痺をしてしまったのか、自分の顔を見てあまりに日本人らしい顔なので嫌になる。もっとイケメンだったら自信を持ってキャロラインちゃんと接することが出来るのに!
キッチンへ行くと、すでにサンタイルさんが料理をしていた。
「何か手伝いますよ」
「アハハ、今日から朝は簡単だからいいよ。簡単にするっていう約束だろう」
「ええ」
「今日はね、ひき肉の入ったオムレツだよ。後は甘く茹でた人参だけだ」
それはそれで手が込んでいる気がする。まあ、いいか、サンタイルさんは楽しそうだし。
「昨日は勉強を教えてくれて有難う御座いました。何かお礼がしたいな」
「お礼!?じゃあ、今度パソコンを教えて貰えるかなあ」
パソコン!そうだ。今朝は見るのを忘れた。僕が4歳の時のクリスマスシーズンの過ごし方。そういえば動画でショックを覚えてそれ以外の機能をチェックするのを忘れていた。もしかしたらメールなんかも出来るかもしれない。インターネットが通じてないんだから、それは無理か。でも文章を打つくらいなら出来るかな。
「パソコンくらい教えますよ」
僕はそう言うが教えると言ってもまだよく分からない。後でどんなことが出来るか確認してみよう。
今日は固そうに見える方のパンだった。僕は3つも食べた。この島に来てから食欲が増したように感じる。
「さあ、片付けたら仕事しよう」
サンタイルさんが立ちあがって言う。
「はい」
僕は顔を上にあげて金髪でグリーンの瞳をしたサンタイルさんの凛々しい顔を見た。




