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鯛に似た魚を焼いてパンも用意する。2人でテーブルを挟んで合い向かいに座った。ランプの灯りがユラユラ揺れてサンタイルさんの顔を赤く映す。
「今日は楽しかったかな?」
「ええ、ええ。あっ、でも本来の仕事を忘れたらいけないですね」
僕にはクリスマスプレゼントの仕分け作業という仕事がある。それをしなければ物を買うお金だって稼げないんだ。
「いいや、釣りを仕事にしたければ、それでも構わないんだよ。漁師だって立派な仕事だ」
「え、でも、クリスマスプレゼントの仕分けも楽しいです。これはどんな子が貰うのかなあ、とか、これは何が入っているのかなあ。とか色々と想像すると夢が膨らみます」
サンタイルさんはニッコリ笑う。
「有難う。神による人選はやはり正解だったな」
「いえ、誰でも楽しいと思いますよ」
僕は照れ臭くなって真っ直ぐ見て来るサンタイルさんとの視線を外した。
「アンジェリーナとキャロラインは釣りを見に行ったかな?」
「ええ、学校の帰りに寄ってくれましたよ」
僕はフォークで焼き魚を突きながら答える。キャロラインちゃんは今日は一段と魅力的だったな。うふふ。
「キャロラインは可愛いだろう」
ぶっ!僕は食べていた魚を吹き出しそうになる。心を読まれた?あの子は本当に可愛いし綺麗だ。
「確かに可愛いですね」
とぼけて返事をする。本当は心臓がバクバクだ。
「高校生くらいだと彼女が欲しいだろう。僕はキャロラインがお勧めだね」
僕は自分の顔が赤くなったように感じた。これくらいで赤面してたらダメだ。変な奴だって思われてしまう。




