(26)
「2人とも、あがってるー」
冷やかされて困ってしまう。キャロラインちゃんはモジモジした。
「だって、日本の人が来ることなんて珍しいことじゃない」
そんなんだ。僕はこの島の事がいまいち分かっていない。若い人ばかりだし・・・。
「ねえ、ねえ、またジェンガやろうよ」
アンジェリーナちゃんが後ろに手を持っていき身体を傾けて僕の顔を覗きこむ。この子は何でも知っていそうだ。キャロラインちゃんに訊くよりアンジェリーナちゃんに訊いた方が早いのかもしれない。ふと、そんな考えが頭を過った。だが、来た時もそうだったが上手く話を誤魔化されてしまうことがある。やはり年が近いってことでキャロラインちゃんに教えて貰おうか。
「キャロラインちゃん、この島はお年寄りはいないの?」
「うん、みんな年を取らない様になっているの」
えっ、そうだったのか。じゃあサンタイルさんが言った200歳というのもあながち嘘ではないかもだ。
「だから、みんな若いんだ!僕もずっとここに居れば年を取らないのかなあ」
「たぶんねー」
僕は矢継ぎ早に質問をする。
「神さまは見えるの?」
「うん、見える人は見える」
「キャロラインちゃんは?」
「私はまだ見たことがないけど、声は聞いたことがあるよ」
僕は仰天した。本当に神さまがいるんだ!確かにそうだろう。ここにいる人たちが日本語を喋っていることさえ不思議だ。
「僕みたいなクリスマスプレゼントの仕分けの仕事をした人は他にもいた?」
「うん、去年はフランスから来てたかな?」
「その人は国に帰ったの?」
「うん、フランスにね、引き取ってくれる人がいたんだ」
僕は耳を疑った。自分で帰りたくなって帰ったんじゃなくて、その子は捨てられた子だったのか?




