(19)
「あの、何歳なんですか?」
僕は思いきって訊いてみた。見た目は20歳くらいだけど、ハッキリとした年齢が知りたい。
「さあ、200歳くらいかなあ」
え、えええ!僕は目を見開いた。
「ハハハ、冗談だよ。僕も自分の年齢は知らないんだ。この島に捨てられていたらしいけどね」
ショック!子供を捨てる親なんているんだ。僕の家より酷い。
「親にも何か事情があったんだろうね」
サンタイルさんは悲しそうな顔はしないで僕の目を見つめてきた。僕は眉を下げて困った顔をした。
「そうですか。誰が育ててくれたんですか?」
ああ、ここまで踏み込んで訊いたらいけないかな。でも言ってしまった。
「この島にはいい人ばかりだからね、みんな親みたいなもんだよ」
何だかしんみりする。僕は仕分けの手を速く動かした。サンタイルさんは笑って「さて、そろそろトナカイの散歩に行ってくるかな」と言う。
「ジョージおじさんは僕が居るってこと知ってるんですか?」
「ああ、昨日の歓迎パーティーの食材を買ったからね」
そうか。そうだった。
「じゃあ、安心です」
「ハハハ、心配しなくても、君が困るようなことはしない」
サンタイルさんはそう言うと髪に結んでいたゴムを外して結わえ直そうとする。サラサラと金髪の長い毛がとても綺麗だ。僕は見とれてしまった。髭が無かったら海外の俳優みたい。いやそれ以上かもしれない。
「そんなに見られたら恥ずかしいよ。1時間半くらいで帰ってくる。お金はそこの戸棚の引き出しに入っているよ。ああ、クリストフくんはこの国のお金を知らないだろうから、財布ごとジョージおじさんに渡せばいい」




