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仕事は、まず、国別にプレゼントを仕分る作業から始まった。これは中国、これはイタリア、これはインド。不思議なことに一旦分けるとホワッと消えてなくなる。
「ここに世界中のプレゼントは置けないからね。魔法で消してるんだ」
また、魔法!?みんな魔法が使えるのか?
「魔法って?」
「クリストフくんはまだ使えないだろう。さあ、手分け作業だけど頑張ろうじゃないか」
うん、頑張って仕事したい。でもクリスマスまで17日くらいだ。間に合うのだろうか。
「なんだか悠長な気がしませんか?」
「ハハハ、この仕事をやっているのは僕たちだけじゃないんだよ」
なんだ、そっか。そうだよなあ。2人だけで世界中の子供のプレゼントを用意するのは限界がある。
「そうですよね」
「そうだ!お昼になる前にジョージおじさんがウインナーを売りにくることになっているんだ。僕はトナカイの散歩に行くから買っておいてくれないか?」
「ウインナー」
僕は反芻するように言った。
「そうだよ。お昼も食べないとお腹が空くだろう。それとね、玉ねぎと人参とジャガイモも注文してあるよ。シチューでも作ろうか?」
サンタイルさんが作ってくれるんだ!!何だか悪いなあ。もっと働いて世界に貢献しないといけない。
「どうも有難う御座います」
「何だか堅苦しいな、敬語じゃなくていいんだよ。これから2人で暮らしていかなくてはいけないんだから」
「いいや、でも・・・」
「まあ、いい」
サンタイルさんは目を細めて笑った。




