表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の国(クリスマスランド)  作者: 内藤理恵
17/55

(17)

「あっ、クリストフくん、起きた?朝食はスクランブルエッグでいいかな?」

 なんと!サンタイルさんが作ってくれるんだ!

「ええ、僕は何でも好きです」

「ハハハ、そうか、そうか」

「何か手伝いましょうか?」

「そうだなー。じゃあ、トナカイたちに草をあげて来てくれないか?」

 トナカイって草を食べるんだ。初めて知った。鹿に似ているイメージがあるが、そもそも鹿が何を食べるかも分からない。

「悪いね、量は計って置いてあるよ」

 僕は玄関の戸を開けて外に出る。ビュウっと冷たい風が吹いて来て思わず手を袖の中に入れた。トナカイがいる場所は家のすぐ隣だった。緑色と枯れたような草がミックスされている。サンタイルさんはこれを毎日欠かさずあげてたんだ。一人でこの広い家にトナカイと住むサンタイルさんをイメージする。あっ、でも僕が来る前も多分だが神に選ばれた人がここに住んでいた可能性も高い。比べて考えればそっちの方が有り得る。

 トナカイに餌をあげて家に入る。テーブルの上に固そうなパンとスクランブルエッグが乗っていた。ピッチャーの中にはミルクらしきものが入っている。

「有難う。クリストフくん、トナカイは可愛いだろう」

「え、ええ。僕、動物は好きです」

「さあ、食べよう。食事が済んだら子供たちに配るクリスマスプレゼントの仕分け作業だよ」

 僕はウンと頷いてパンを齧った。思ったより固くなくて噛めば噛むほど甘かった。

「動物が好きってことはジョリイも可愛いと思うかな?」

「はい、僕は犬も猫もネズミだって好きです」

「アハハ、ネズミかあ」

「あっ、日本は来年はネズミ年なんですよ」

「へえ、動物で年を表すなんていいね」

「いいですかあ?」

「さ、食べたら仕事だよ」

 サンタイルさんが目を細める。僕は「はい」と返事をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ