(15)
「クリストフくんが居たいだけいればいい」
お父さんがそう言ってから「よいしょ」と暖炉に薪をくべた。 夜遅くまでパーティーをして、サンタイルさんと住む家に向かう。空には星空が広がっていて、澄んだ空気の向こうから星が降って来そうだった。ここは高台なので街の家々の灯りがポツポツ見えた。
「ここの島はね、10万人くらいしか人は住んでいないんだ」
それだけ!?じゃあ、みんな顔見知りかな。
「少ないですね」
「ああ、クリストフくんと同じ年齢の子もいるよ。明日、紹介しよう。今日は疲れただろうから早く寝るといい」
サンタイルさんはそう言うと玄関のドアを開ける。中は真っ暗だ。持っていたランプの炎だけが赤く揺らめく。オルゴールの音が優しく鳴り響いていた。
「あっ、先に眠っちゃっていいんですか?」
僕は階段を上りかけてから思い立ったように訊いた。
「ああ、お風呂は明日でいいかな。僕は飲み過ぎちゃったよ」
僕はクスクス可笑しくなった。
次の日、風がガタンガタンと窓を揺らす音で目を覚ます。たくさん寝た気がする。スマートフォンで時間を確認すると朝の8時だった。何故か充電器が枕元にあったので助かった。電話くらい出来ないと困る。
ベッドの横には昨日貰ったパソコンが段ボール箱に入ったままだ。よく考えてみればクエスチョンだ。この島はコンセントをさす場所はあるのだが電気は夜は点けていなかった。電気の節約なのかな。後でサンタイルさんに訊いてみよう。
パソコンをちゃっちい机に乗せて電源を入れてみる。ハードが外にある何年か前の機種だ。当たり前か。ここは2005年なのだから。